フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

【京都】「観山」で日本の秋を目と口で味わいつくす美食を

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食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。先月の京都訪問の続き

最後にランチで和食をいただいてきました。佛光寺近く、高辻通りにある「観山」。まさに旬を目と口、両方で味わい尽くすような懐石料理でした。今回はそのレポートです。

京都で和食を食べたい

観山の美しい店内。なんと私が来店した時間は貸し切り。贅沢!

わたしが仕事で定期的に京都に来るようになったのは、10年前から。以来、必ず一人で日本料理を食べるようにしています。

ネットで一人席を予約できる京都の日本料理店は少ないですが、いろいろ検索してなんとか抑えられた「観山(かんざん)」さん。

こちらから予約しました→(観山の一休サイト)

京都嵐山吉兆などで修業された大将の八木一真さんが、茶懐石を基本に地元の京野菜で旬を表現。特に八寸が自慢ということで。楽しみに伺いました。おまかせコース一択です。

以下、食べたものを順番にご紹介。

前菜:三重県の戻り鰹 泡ポン酢で(上)京丹後の鱧(はも)の子の卵とじ(左)
食前酒:豊香(長野)

お造り:烏賊(和歌山)、甘海老(北海道)、鱧落とし(淡路)

自家製の梅肉醤油。わさびをたっぷり混ぜてください、と。これが美味で!

前菜もよかったのですが、お造りに添えられた「梅肉醤油」がまた美味で。酸っぱさはしっかりあるのだけど、コクや味の広がりがすごかった。まるで「食べる梅だし」?どの刺身に付けてもおいしい。

「『これだけでお酒飲みたいから、下げないで』というお客さまもいるんですよ」と大将。わかる!ということで、わたしも最後まで横に置いておいていただきました(笑)。

お椀:素麺(2年間熟成させたもの) 鮎の一夜干し 四角豆(伏見)
白いあしらいは卵白に食用菊(もって菊)を飾り、「着せ綿(わた)」という重用の節句の飾りを模したもの。

素麺は鮎の一夜干しと、独特の食感の四角豆が味わい深かったのですが、上に載せたあしらいの「着せ綿(わた)」も印象的でした。本当に日本の秋をそのまま、いただいている感じ。

立体的で豪華な八寸

名物料理「手作り筏(いかだ)の八寸。秋の仕立てで。

名物料理の「八寸」が登場。これが豪華で緻密で。それぞれ拡大して紹介します。

時計回りに。鮎の骨せんべい(手前)、田中唐辛子の土佐煮と修学院のきゅうり(中央)、イカのえんがわと京都産枝豆(左)、イサキ(表面を焼いて酒蒸し)とニラの醤油漬け、蕗の葉(中央奥)、イクラの醤油漬け(右奥)、炊いて山椒をふった鱧のすし(右)。

秋鮭のおかき焼き

イクラの醤油漬け。「観山のイクラ漬けは“飲み物”」と常連客には評判だそう。

豪華!そして細かい。これも日本の秋すべてを食べ尽くす、という料理でした。

そしてイクラの醤油漬け。「『観山のイクラは飲みもの』、と言っていただくんですよ」と大将。本当にスルスルーっといけちゃう軽さでした。イクラの食感に秘密があるのかな。よくあるプリプリ、というよりふわっとゼリーのような噛みごたえでした。

スズキの朴葉焼き。南丹産椎茸、赤キャベツ、修学院の万願寺唐辛子、宇治産黄色にんじん、落花生

炊き合わせ。京都産かぼちゃ、松茸の軸、京都産水菜。

鴨なすとはも、玉ねぎの炊き込みご飯。鷹峯(たかがみね)唐辛子と。

 

食事:炊き込みご飯と。ねぎ味噌、ゆず大根、昆布漬け、パプリカの漬物(すべて自家製)、八丁仕立ての赤だし。

これだけボリュームがあるのに、お腹に余裕を残す構成が見事です。

最後のお食事は鱧の炊き込みご飯。ご飯の粒一粒ずつに鱧のまろやかで濃いだしがしみしみで。おいしかったー。

鱧のだしが濃厚でした。

見た目は濃くないのですが、チキンピラフのような濃厚さ、と言ったら伝わりますか?

「鱧のだしが濃厚ですね!鯛みたい」と言ったら、「鱧の旨みはすごいですよ!ラーメンスープにもなります。『鯛だしラーメン』を出す店も増えていますけど、鱧もできる。ただ、原価が高すぎて誰もやらないですが(笑)」と大将。なるほど納得!

デザート:水菓子(いちじくの赤ワイン煮とゴールデンキウイ、梨)のマスカルポーネソースがけ。

自家製抹茶生チョコ、マンゴーのブランマンジェ、蒸しおはぎ、お茶。

マンゴーのブラマンジェ。色は真っ白なのに味はマンゴー。

この日飲んだお酒

京都産純米吟醸「十石(じっこく)。

好みのおちょこを選びます。日本酒(酸味が強めの地元酒)を1合頼み、ちびちび飲むのが好き。

いつも通り「酸味が強めの地元の日本酒を」とお願いし、1合だけ頼みます。

調子に乗ってお酒を飲みすぎて、血の気が引くくらいお腹がパンパンになったことがあったので、日本料理とすしは必ずこの「1合ちびちび」スタイルで。

日本料理定番の「大将が外までお見送り」。ごちそうさまでした!

本当に大満足でした。私のような一人客も結構多いそうで、京都に単身で来て、心ゆくまで和食を堪能したい方、おすすめです!

ちなみに大将の八木さんのご実家が営む「観山堂」(器とお茶道具の老舗店)もこの近くにあります。今回は帰りの時間がタイトで行けなかったのですが、次は行きたい!

観山(かんざん)
http://kanzan-kyoto.com/
ウェブで予約できます→(観山の一休サイト)

それでは、今日も最高においしい1日を!

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