フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

令和3年、手作りおせちと年賀状は今年で卒業!と決めた理由

手作りおせち 年末年始は忙しい!

大掃除も、おせちも、年賀状も!とあたふたしている人が多いですが、コロナ禍でニューノーマルだった令和3年のお正月、みなさんいかがお過ごしでしたでしょうか?

年明け早々から少し経ってしまいましたが、今年だからこそ気づけた自分にとって大事なことがあり、メモします。

写真は今年作ったおせちです。

静かなコロナ禍の年末年始で初めて見えたこと

小池都知事が「おうちで静かな年末年始を」と唱えていたとおり、仕事納めの年末から年明け3が日まで、家で静かに過ごしました。

もともと夫と私は両方とも東京出身で都内に実家があり、帰省する習慣はないのです。が、

例年だと双方の実家を1日で行き来し(23区の東西それぞれ端っこなので案外遠い)、9年前に私の母亡き後は料理が得意な私が、我が家と実家の父と妹一家、計8人分の年越しそば&天ぷらやおせちを準備し、そこに年末に終わらなかった仕事が食い込んできて、12月27日あたりから3が日まで本当に慌ただしかった。 (こんな記事も書いていました→「去年よりさらに手抜きしてまた喜ばれた、我が家のおせち2018年」)

しかし今年はシンプルに家族3人分のおせちをただ作っただけでした。

お雑煮

紅白なます、栗きんとん(煮りんご入り)、黒豆、かずのこ、きゅうり漬け、ゆずのはちみつ漬け、かまぼこ(市販品を切っただけ)、雑煮(関東風)の8品を30、31日の二日間で作りました。

そして非常に落ち着いた環境で少量のおせちの材料を買い込み、仕上げて、わかったことがありました。

毎年毎年「あー○○ができてない、XXが終わっていない、なんで私こんなに要領が悪いのだ!」と自分にイライラしていたけれど、単純に年末年始×8人分の食事支度をする方が、いくら料理好きとは言えキャパオーバーだったのだ、ということ。

おせちの準備は本当に大変。

みなさま、「おせちは自分で作った方がやっぱりおいしい」「手作りできるのに高い市販のおせちを買わなくても」とか言わないで、来年からどんどん市販のものを予約したり買ったりしましょう。

おもちや三つ葉、根菜などの具材だけそろえて、だしを取って「元旦当日にお雑煮だけ作る」が(もし)できれば、十分すぎるくらい(できなくてももちろんOK)。

みんな忙しい現代の日本人は、正月だけじゃなく年末年始からゆったりするべきなのです。

手作りおせち=作る人の労力>食べる人が感じる効果

今回、おせちについてもう一つわかったこと。

悲しいけれど気づいてしまいました。

おせちほど「作った人の労力と食べる人の喜び」が合致しない料理はないと笑

おせちって黒豆やきんとんしかり、どれも前日から材料を漬け込んだり、煮た後こまかく手仕事したり、色を良くするために普段使わないような食材(くちなしとか)を探して買ったり、めちゃくちゃ手間がかかるのです。

の、割には味付けが「甘い」か、それに酢を足して「甘酢仕立て」。全体的に単調なのですぐ飽きてしまう。

なのにおせちって煮込み、漬け込み料理が多く、材料も黒豆やかずのこなど大ロットでしか買えないので「ものすごく少量」は作れないのです。

元日早々、夜には

家族:「もうおせち食べたくなーい」 作った人:「じゃあこれだけ残ってる分どうするの?せっかく作ったのに捨てるの!?(キレ気味)」となります。

おせちクール便

おせちクール便 (↑↑なるべく少量にしたものの結局3人では食べきれない量になり……都内のシニアハウスに住む父に大みそかクール宅急便で送った自家製おせちの詰め合わせです)

「おせちもいいけどカレーもね」とはよく言ったもので、この単調な味の後に肉のうま味や食感のまろやかさ、スパイスの複雑な刺激感が来たら、太刀打ちできっこない。

そんなわけでコロナ禍のニューノーマルな年末年始、「手作りおせち不要論」という結論が見えました。

よく考えたら年賀状も自分を追い詰めている

年賀状

例年より相当のんびりした年末ではあったものの、12月28日ギリギリまで取材や原稿納品があり、年賀状は年内に出せませんでした。

しかし「どうしよう!やばい、年賀状!」と焦ったものの、結果的にまったく困らなかった。

いつもお願いしているサイト「年賀家族」は1月末までリピーター割引が効き、年明けにゆっくり作ればいいわけで。

友人や仕事先はすべてネットワークでつながっているので、近い人にはネットで年始の挨拶をすれば終わりでした。

「年賀状じまい」「終活年賀状」がトレンドキーワードに

5年前からサステナブルシーフードの仕事もしているし(「2019年AERAで『10年で半減 消えるサンマ』を書きました」)、地球資源と自分の時間と少なくないコストを使って紙の年賀状を儀礼的にやり取りし、「また飲みましょう」「今年こそ会いたい!」と書き続けるのは本当にムダだと、はっきり気づきました。

いま、どんなにPCやITに弱いシニアだってスマホでLINEくらいは使っているし。

紙だけで年1回連絡する必要あるのか?(年1回しか連絡しない人たちと無理やりつながり続けることも含めて必要なのか?)と疑問が浮かび。

そう思って「年賀状 やめたい」と検索すると……まあ出てくるのです。

「年賀状じまい」や「終活年賀状」など新しいキーワードが。

なかには「年賀状をやめるときの文例集(親戚、友人相手、自分が高齢だからなどの『ケース別』)」といったまとめサイトまで多数ありました。

もっと「時間」と「お金」と仲良くなる

ひまな時間

時間と労力を持て余している人、どんな評価を受けてもおせちを手作りしたい人など、続けたい人は続けましょう。

しかし日本人としての惰性で、長年の慣習を守る必要はないです。

令和3年の静かな年末年始、気づいたのはまさにこれ。

それよりも「もっと時間とお金と仲良くなることが大事」でした。