AERA9月30日号(9月21日発売)で、記事を書きました。タイトルは「10年で半減 消えるサンマ マグロもヒラメもトラフグも深刻危機」。
サンマやおいしい魚が出てくる季節に、センセーショナルなテーマですが、海の環境や魚の獲りすぎ状況の取材を4年前から続けてきた身としては、この記事をAERAで書けて感無量です。
4年間いくつもの出版社に断られ、やっとAERAで採用(泣)
食の取材を続けて20年、繁盛店やシェフのインタビューなどの仕事をひたすら受けて書いていましたが、2015年の終わりに「魚の獲りすぎ防止を呼びかける国際NPO(MSC日本事務所)の公式ライターを募集しているんだけど、受けてみない?」と声をかけられました。
幸い面接を経て数人いた候補の中から、私が選ばれました。以来、旧築地市場や宮城・焼津の漁港、魚を扱う商社やメーカー各社、イオンといった小売企業の魚売り場、WWFジャパンまで、通常のフードライターの仕事と並行して、魚にまつわる取材を4年間やりました。
現在もMSCの公式ライターなので続いていますが、取材をやればやるほど聞くのが「一般の人は知らないけれど、日本の海の魚はいま、ヤバイことになっている」という水産業界のプロたちの声。
私が書いているのはMSCの公式ブログ(「海のエコラベルを知っていますか?」)で、一般の人からは検索がかかりにくいのです。「もっとたくさんの人にこのヤバイ状況を伝えたい」と実績のある出版社と新規の売り込みも含め、何社も企画を持ち込んだのですが、ことごとく却下。
食の記事と言えば、人気があるのは私がいままで書いてきたような人気レストランやレシピの話、または夕方のワイドショーで取り上げられるような「デカ盛り」「スーパーの15分詰め放題!」「イベント(餃子フェスなど)」の突発的に目を引く話題。「海の環境がいま問題になっていて、魚や貝が減ってて…というテーマで書きたいんです」と言っても、編集者は「悪いけどそれ売れないねぇ」「ごめん、何が面白いのかわからないんだけど」と誰も取り合ってくれず。
そうしたらこの夏、AERAの編集者に「浅野さんが言ってた魚の企画、うちのデスクに通りました!」と連絡が来たのです。感無量でした(涙)
日本人がよく食べる魚は絶滅危機にある
詳しくは記事を読んでいただきたいのですが、いま日本だけじゃなく世界の海では魚が激減し、危機的な状況になっています。それも、ワールドワイドで人気のマグロはもちろん、サンマやイワシ、サバ、ホッケなど日本人が昔から好きだった魚種が特に獲れなくなっています。
減ったのにはいろんな要因がありますが、世界の人たちが「魚のおいしさ」に気づいちゃって、少なくなっている上に、みんなで奪い合っているのです。日本では肉食化傾向で「若い人の魚離れが進んでいる」とか言っていますが、やっぱり魚ゼロというのは日本人としてさみしいし、あり得ない。
魚大国で先進国なのに世界から立ち遅れている日本
この状況で特に問題なのは、海外(特に先進国)では魚という海の資源が減っていることにみんな敏感になっていて、ヨーロッパではスーパーに買い物に来た主婦や学生までが、「エコラベル(後述)が貼られているか」「漁獲量を守って獲った魚か」など興味を持っているのに、日本ではまるで無関心なこと。
それは消費者が悪いのではなく、ちゃんと報道してこなかった私たちメディアの責任なんですよね。4年間の取材では、缶詰やお弁当用の魚フライを作っているメーカーでも「うちの社員全員が魚が減っている状況を知っているわけではない」という会社まであり…「売れない企画」でも、ニュースにして世間に呼びかけなければいけない情報ってあるんですよね。
「海のエコラベル」MSC認証を選ぶことで食い止められる
AERAの記事にも書きましたが、魚が減っている状況の食い止め防止に、一般の人がすぐできる方法は「MSC認証を受けた『海のエコラベル』付き商品を選ぶこと」です。
MSC認証とは「(海の環境を損なわない、それもなんとなく、ではなく科学的にきちんと検証された)適切な漁法を行っている漁業者に与えられる認証制度」で、その漁業者が獲った魚を使ったものには「海のエコラベル」が貼られてスーパーなどで売っています。
探すと意外とあります!これは、我が家の近所のセブンイレブンで売っていた明太子。イオンや生協でも扱っているので、ぜひ注目してください。値段はMSCだから特に高いわけでなく、通常価格です。
あと最後になりましたが、記事もぜひ雑誌をお手にとって見ていただければ嬉しいです。