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食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。仙台に行ってきました。
東京のみならず、日本の各都市では旅行者や人が戻り、ホテルやレストランが活気付いています。仙台もその一つ。
宮城の“食のホテル”とも言われる仙台国際ホテルで、9月18日(月祝)に美食イベント行われ、そのレポートをお届けします。
≫仙台国際ホテルで3月に行われた美食イベントのレポートはこちら
「【仙台】現代の名工×ホテルキャビア×ソプラノリサイタルのレアな饗宴 仙台国際ホテル」
ホテルで和の伝統芸能を堪能、ディナーも味わえる
仙台国際ホテルは、今年3月に宴会場を再開。
ホテル総支配人・野口育男さん(東武ホテルマネジメント・代表取締役副社長)は、美食家で、さまざまな食のイベントを企画。仙台の地元にもファンが多く、メディアにも何度も取り上げられています。
そして今回のイベント、タイトルは「国際派落語家・三遊亭竜楽 浮世絵と愉しむ古典落語と小粋なディナーの夕べ」。
和の伝統芸能と美食を堪能できる、贅沢な内容でした。
シャンパーニュ片手に古典落語と浮世絵の世界へ!
少しドレスアップして到着すると、こんなアペリティフで迎えられます。そのまま、グラス片手に伝統芸能の会場へ。
これだけで特別感たっぷりです。
三遊亭竜楽さんが古典落語「荒(あら)大名の茶の湯」と「徂徠(そらい)豆腐」の2演目を披露。
生の落語は初めてで新鮮でした。笑いあり、涙ありの内容。竜楽師匠一人の語り、動きで何人もの登場人物がリアルに浮かび上がってくるのがすごいです。
もう一つの演目は、浮世絵伝道師の牧野健太郎さんによるトークショー「お江戸浮世絵語り」。
「富嶽三十六景」「東海道五十三次」など教科書で見たような作品を「北斎はどんな気持ちで描いていたのでは」「デジタルで拡大するとこんな意味がある」と解説するもの。
会場でも「なるほど」「おお」と声がもれ、面白かったです。
名物シャンパンサーベルで始まる「宮城の名工」の料理と宴
伝統芸能の後は、同じホテルの宴会場へそのまま移動。
野口総支配人が「ホテルの宴会で当たり前のウォーマーを使わず、どうやって『食の仙台国際ホテル』の味をご提供するか、考え抜いてきた成果を堪能ください」と挨拶。
名物のシャンパンサーベル(刀で抜栓する伝統的なサーブ法)でスペシャルディナーが始まりました。
シャンパーニュ、ボルドー、日本酒、紹興酒の全方位ペアリングが贅沢すぎる
ペアリングも同ホテルの名物。銘柄ワインや酒全般に詳しい野口総支配人のこだわりで、ワイン各種と日本酒(「浦霞禅」)、紹興酒と世界中の名酒が全方位に、一気に提供されます。
料理1品ごとに1杯ずつサーブされるのではなく、各席でグラスに全種類のお酒が注がれ、自由に飲み比べて料理と合わせるスタイル。
グラスが空いてくるとまた好きなものをお代わりで。ものすごく贅沢なペアリングです。
地元の名産物で彩る華やかなコース
グラスにドリンクが注がれ、ディナーが開始。
アミューズは、濃厚なタルトにフルーツほおづき(宮城・田代農園)を添えて。
シャンピニオンデュクセル(マッシュルームとエシャロットのソテー)や原木シイタケを、卵黄やバターを使ったサバイヨンソースでまとめたタルトレットです。
前菜二皿目はふんわり甘いひと口スープ。宮城産のさつまいものペーストをコンソメ、ブイヨン、牛乳、生クリームで伸ばし、生ハムと牛乳の泡でカプチーノ仕上げで。
折り鶴はさつまいものペーストとゼラチンで作ったものです。食べる芸術。
前菜三皿目はいろいろなものを集めたオードブル。
(写真奥・右)カリフラワーのムースと活ホタテ貝とボタン海老のメリ・メロを合わせて。(写真左)オーラキングサーモンのミキュイ。玉ねぎや青しそのラビゴットソースがかかっています。全体のアクセントは緑のバジルソースと赤いラズベリーソース。
次の皿は佛跳牆「(ファッチュウチョン)」。上湯(シャンタン)スープをベースに、フカヒレやスッポン、比内地鶏、キヌガサ茸、クコ、龍眼(果物を干したもの)、ナツメなどの具材がてんこ盛り。通称“びっくりスープ”。
上湯スープがホテル内の中華「翠林」特製の、金華ハムや鶏がら、干し貝柱を4時間煮込んだ極上スープということで、なんとも贅沢。
私は今年2月に台湾に行き、台北の伝統料理の店で「フカヒレぶっ飛びスープ」なるものをいただきましたが似てましたね(台湾旅行のブログ記事はこちらを「【2023年台湾旅】台湾の伝統料理をまるっと食べられる!台北の老舗レストラン」)。
魚料理は高級珍味を柔らかく煮込み、XO醤で炒めたもの。あわび、えび、カラスミ、7日間かけて戻したナマコなどを使用。下には仙台の曲がりネギが敷き詰められています。
メインの目玉・仙台牛の塩釜焼きで会場が沸く
メインの肉料理は仙台牛フィレ肉の塩釜焼き。この日のコースの要です。地元の銘柄牛の最高級部位。きめ細かくやわらかで、肉の味わいが濃厚。でも脂肪が少なめでさっぱり。奥に添えたグレービーソースで。
付け合わせの野菜にもこだわりがあり、つるむらさき(相原農場)、なす(笹羅農園)、イチジク(おひさま村農園)、ピュレは紅大福種のじゃがいも(佐藤勘一郎農園)と、地元や近隣の農家から仕入れたもの。
ちなみに「塩釜焼き」とは、表面を焼いた肉に網脂(あみあぶら)を巻きつけて、塩と卵白の生地でオーブン焼きしたもの。
焼く際にさらにわらで包み、「ご注目ください!」と巨大な額縁に入れて絵のように披露するプレゼンもイベントの目玉。いっせいにカメラが向けられていました。
食事は手打ちの十二割そば。コシの強い山形産「最上早生(もがみわせ)」のそば粉十割に、小麦二割を合わせたもの。これを辛味大根や花かつおの薬味に、じっくり数日かける自家製の熟成つゆで。
肉料理の後だからか、そばにレフォール(西洋わさび)を添えてあったのがユニークで。するっと食べられて量もタイミングも絶妙でした。
会場みんなで見守るデザートイベント
そしてデザートが、このイベントのもう一つの目玉。会場がさっと暗転しノリノリのJポップが流れ、ショーが始まります。
デザートを提供する際、フランベの炎を見せてパフォーマンスする「ジュビレ」。冷たいアイスにここで仕上げた熱々のソースをかけます。
若いスタッフが曲に合わせてレモンの皮をむき、炎を出すまでを会場みんなで見守る恒例のショー。
実はディナーイベント自体、野口さんの発案で社員教育も兼ねて採算度外視で行っているものだそうで、練習を重ねた様子が伝わってきてゲストも温かい気持ちに。
パフォーマンスも楽しいですが、そのソースを使ったデザートもしっかり美味。
地元の結城果樹園の桃のコンポートにアーモンドのブランマンジエ、自石蔵王産・行鶏たまごのヴァニラアイスに熱々のフランボワーズソースを使った「ピーチメルバ」です。
コースは以上、約3時間で終了。その前の落語や浮世絵トークショーを含め、ボリュームたっぷり、現代の宮廷料理を味わっているような贅沢なグルメイベントでした。
そのまま宿泊し、翌朝は仙台の特産品たっぷりの朝食も堪能して最高でした。
イベントは30,000円でもお得に感じる内容で、過去10回以上の開催でもチケットは毎回即完売。仙台国際ホテルでは今後もいろいろな企画をやっていくそうで、注目したいです。
所在地 宮城県仙台市青葉区中央4-6-1
電話番号 022-268-1111(ホテル代表)
https://www.tobu-skh.co.jp/
「じゃらん」で見てみる
「一休.com」で見てみる
[2023年9月訪問]
それでは、今日も最高においしい1日を!
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