肉だけじゃなく魚も熟成する(寝かせる)と爆発的においしくなる
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食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。
少し前ですが、予約が取れない話題のすし店「熟成鮨 万(よろず)」に行ってきました。今回はそのレポートです。
2018年オープン、2020年から「ミシュランガイド東京」一つ星を獲得中。カウンター6席のみ。私が訪問したときは予約が取れましたが、いまはかなり予約困難なようです(毎週Instagramで空席情報を公開)。
魚を熟成させ、さらに江戸前仕事をして握る。手間膨大のすし
熟成とは、低温で素材を寝かせて、腐らせずうま味を引き出すプロの技術。「熟成牛のステーキ」などよく聞きますが、実は魚もトレンドなのです。
「熟成鮨 万」は、この熟成魚だけを握ります。仕入れた魚を見て、大将が自ら熟成。ネタによって日数や熟成の方法(3つある)も細かく変わるそう。
酢じめやヅケなどネタの「仕事(下処理)」ももちろん必要。それだけでも大変なのに熟成の手間も加わって、大将、一体いつ寝てるんだろうと(元アスリート)。
そんな貴重な熟成ずし体験、たっぷりお見せします!
店の入り口からプレミアム感満載
お店は渋谷駅・恵比寿駅・広尾駅のちょうど中間。渋谷区の高級住宅街にあります。マンションの一角に入るので、インターホンでを鳴らし、解錠してもらって中へ。
カウンター6席のみ。私は女性の友人と2人で行きましたが、他は大人のカップル2組でした。
おつまみと握りのおまかせコース
ドリンクは自家製の「発酵チューハイ」からスタートし、日本酒をいただきました(最後に紹介します)。これが濃くて爽やかで美味!
貝(ホッキ貝)のスープから始まる前菜です。貝のだしのみ、調味料は一切使っていない、というスープは上品。
野菜はアスパラガス。米油と宮城産の塩で、ほうろう鍋で蒸し焼きしたもの。
さらに前菜が続きます。
1ヶ月半熟成させた広島産なまこのこのわた、21日間熟成のふぐの身を巻いて、ふぐのだし(骨や皮、うろこを6時間煮出す)で炊いたもの。くえの炭火塩焼き。
やっぱりどれも、口当たりや食感がまろやかに感じる。
そしてガリとお手ふきが出てきて、握りが開始。写真が撮れなかったのですが、握りの最初にすしの「シャリ」のみを手渡され、ひと口食べました。やや硬めのシャリです。
「万米(よろずまい)」というコシヒカリ系のオリジナルの品種を長野県の農家に栽培してもらっているそう。合わせ酢は赤酢と米酢、広島産の藻塩をブレンド。濃厚な熟成魚のネタに負けないように仕上げたもの。
握りはまずマグロを4カン連続で!中トロからはじまり、同じ産地のほぼ同じマグロを部位別・熟成日数別に食べるという、とても贅沢な食べ比べ。
雰囲気に圧倒され、なかなか味の違いがわかりづらいですが、これを楽しめたら非常にグルメリテラシー高いです!
コハダ、ボタンエビと続きます。コハダはむっちり。肉厚の身がしっかり締まり、文字通りごちそうでした。
食感の強いサメガレイも美味。
マダイやマスノスケ(サケ)など、好きなネタが続いて嬉しい。酸味やコシが強めの少量のシャリで、とろりとまろやかなネタを食べている感じです。
しかし当たり前ながら、全てのネタの仕込み日数を全部暗記し、私たちに伝える大将にも驚愕。
終わりの方はスプーンで食べる手ごねすし風など、ちょっと変わったものも楽しみました。
熟成日数も教えてもらったと思うけれど、大将のすしのスピードが早く、メモしきれず。ウニも濃厚でおいしかったー。
最後の赤だしと玉子の間に、ハマグリをはさむというのも面白かったのですが、量はでちょうど満たされ、満足感たっぷりで素晴らしかったです。
この日飲んだお酒(日本酒3種)
すしは大将とお客が対面して食べ続ける、エンタメ要素の多い料理だと思うのですが、この「熟成鮨 万」のおまかせコースはさらに劇場的。一つのショーを見終わったような食後感でした。
かなり予約困難状態が続いていますが、ネットでこまめにチェックして、行ってみてください。
所在地 東京都渋谷区渋谷区東4-6-5 ヴァビル 301
電話番号 050-1807-6857
営業時間 第1部 18:00~20:30(17:55入店可)、第2部 20:45~23:15(20:40入店可)の2部制
予算 「おまかせ」(コース)30,000円のみ
https://www.instagram.com/aging_yorozu/
(毎週日曜にInstagramのストーリーで空席を案内)
「一休」から「熟成鮨 万」の情報を見てみる
[2023年5月訪問]
それでは、今日も最高においしい1日を!
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