フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

【ミシュラン三つ星】泣く子も黙る三つ星フレンチ「カンテサンス」に行ってきた

食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。

ミシュラン三つ星フレンチ「カンテサンス」に行ってきました。今回はそのレポートです。

JR「大崎」駅から徒歩10分、高層マンションの1階が入り口

「カンテサンス」の入り口の画像

カンテサンスの入り口

「カンテサンス」、ご存知ですか?2007年にミシュランガイド東京で三つ星を獲得したフランス料理店。シェフの岸田周三氏は史上最年少の三つ星料理人(当時)として注目され、以来現在まで20年近く三つ星を維持中。

木村拓哉さん主演ドラマのモデルにもなって(実際にドラマに出てくる料理も監修)……と、フードライターとしては書きどころ満載のフレンチです。

泣く子も黙る」って陳腐な表現で好きじゃないですが、これだけ取り上げるポイントがあれば、使っていいんじゃないかと。

この日食べた料理とワインのメモ(写真は撮影NG)

カンテサンスで飲んだワインの画像

店内で撮影OKだったのはこの一枚のみ。私たちがペアリングで飲んだワインを並べてくださったもの。

カンテサンスでは(個室席でない限り)、店内撮影がNGなのです。写真で後から思い出すこともいろいろあるので、フードライターとしては残念というかつらい。

ただそれは行く前にわかっていたので、ネットでかなり予習しておき、当日もメモしながら食べました。

以下、食べたものとペアリングのワインの記録です。食べログにアップされたお店の公式写真を一部載せておきます。コース全品の画像は食べログか、ヒトサラにも掲載されているので、見たい方はそちらを。

★料理8品+デザート4品+小菓子のコース
【ひと口アミューズ
アーモンドサブレの上に豚足のテリーヌ、
きざんだピーカンナッツときゅうり、牛タン

カンテサンスの料理の画像

(出典:食べログのお店の公式画像より)

シャンパーニュ:ジャクソン パッション
アミューズその2】
真鯛と白ワインのスープ
具材はアーティチョーク、セリ、コシアブラ
★ワインロゼ  シャトー・シモーヌ プロヴァンス ロゼ
スペシャリテ
ヤギのミルクのババロア←キムタクのドラマで出たやつ!
百合根とマカダミアナッツのトッピング
ゲランドのフルール・ド・セル(塩)が味付け
オリーブオイルが主役の料理なのでまぜないですくって食べる

カンテサンスの料理の画像

(出典:食べログのお店の公式画像より)

★ワイン白 マルクス・フーバー
グリューナー・フェルトリーナー・オベーレ・シュタイゲン 2020
【前菜】
ホワイトアスパラガスのソテー
ゆでたりせず、ブリオッシュ生地でじっくり火入れしたもの
ホタルイカの身のソテーとイカのワタを泡仕立てにしたソースで
★ワイン白 パレットプラン2014
【前菜その2】
ふきのとうと春ほうれん草を練り込んだケークサレ トッピングはホタテ
表面にコンテとパルミジャーノチーズを塗り付けて香ばしく焼き上げ
ワタリガニとハーブのペースト
インゲン
★ワイン赤 ブーブレイ ドゥミセック
ル モン(Le mont)2008
【野菜料理】
たけのこ(魚介類のだしで炊いてからフリットに)
静岡・藤枝産、今朝届いたたけのこをアク抜きせずに調理
ホッキ貝、ダルス、島根県則彦岩海苔のバターソース
バターはブルターニュのもの
シャンパーニュ ポール・ロジェ 
あえて温度高め(14度)で提供
【魚料理】
金目鯛
ドライマッシュルーム、ヴァンジョーヌのソース
加賀蓮根のフリット
島らっきょうのピュレ
★シャサーニュ モンラッシェ プルミエクリュ
ベルナール・モロー
【肉料理】
茨城産の鳩のソテー
行者ニンニクとタプナード添え
ポルトガルのリキュールのソースで
★ジュブレシャンベルタン
【デザート1】
青リンゴ(グラニースミス)とオリーブオイルのソルベ
パイ生地
シナモンの泡
口の中でアップルパイになる
【デザート2】
いちごのショートケーキ(岸田シェフが考える、いちごとクリームの理想比率を体現したケーキ)
間にはバラの香りのキャンディ
【デザート3】
よもぎのクラフティ
クレープ生地
【デザート4】
メレンゲのアイスクリーム
メレンゲを一度粉末にし、アイスクリームに仕立てた能登半島の海水を霧吹きで表面だけかけている)
【小菓子】
アーモンドクッキー

全部すばらしかったけれど、特に印象的だったのがスペシャリテババロア、メインの野菜(たけのこ)と魚(金目鯛)です。

ババロアは濃厚なとろける味。一見デザートのようだけれど塩味で、甘くない。そしてコースの中のこの順序で食べるとしっくりくるので、やっぱり前菜なのです。

メインは火入れの妙で食感とそれぞれのうま味がぐいーっと引き出されてて、うわ、すごいなと。

さらに、たけのことペアリングしたワインを、赤ワインの次にシャンパーニュにして、それを14度というかなり高めの温度設定で提供しているのもさすがでした(ワインペアリングの王道では順序、温度ともにあり得ない)。

美食って一体なんなのか、どう楽しめばいいのか

ところで美食とか、こうしたミシュラン星付き店に慣れていない方は、一体何をどうやって楽しめばいいのか、わからないと思います。

つらつら食材と調理法を書き連ね、「すばらしい」とか、したり顔で言われても、って感じですよね。

どうしていいかわからない方は、こうした野菜や魚が、どんなふうに味付けされ、美しく盛り付けられているのかを感じてみてください。

同じアスパラガスでもご自分がこれまで食べたものとどう違うのか、きのこなら「こんな香りが強いきのこは食べたことがない!なにこれ?!」でもいいし。合わせたソースをおいしく感じた、とかでも。どんなことでも一つの感動ですよね。そういう感動を、誰かと「すごいね!」と同じ場で共有したり、後で人に話したりすることが美食の醍醐味なのではと。

美食は一部のグルマン(グルメ愛好家)だけのもの?

わたしは美食の世界というのは、ある一定のグルメな人だけが秘匿性を持って楽しむものではないと考えています。強い香水をつけて来たり、自分たちだけで騒いだりとマナー違反はだめですが、せっかく自由な国に住んでいるのだからグルメ初心者だって、若い人だって、誰でも楽しむチャンスはある。

むしろそういう美食未体験の人の方が、感動の振り幅が大きく、人生の忘れられない体験になる。もしかしたらたった一回の美食で、落ち込んだ気持ちが癒されたり、人生が変わる人もいるかもしれない。そういう人たちが増えることで、日本の飲食業界がさらに盛り上がると思っています。

振り返ればかつての私自身がそうであったし、その体験によってこうしてフードライターという仕事を得て、長く活動している縁もあったり。

仕事柄、著名なシェフや板長ともざっくばらんにお話しますが、自分の料理でお客さんに喜んでもらいたいのはみな同じです。「シェフの料理を食べて人生を救われた」と言われて、喜ばない料理人なんていないです。

予約は今、ネットで大体できる

ちなみにカンテサンスは「予約が取れない三つ星店」と言われて実際非常に取りづらいのですが、自分が行きたい日ではなく、お店が予約を開放している日に合わせれば、誰でも予約可能です。

「カンテサンス 予約」で検索すると、お店の公式ウェブサイトが出てきて、そこにもネットからの予約するためのリンクが明記されています。カンテサンスに限らず、どんな繁盛店でも予約方法をインスタグラムやネットで公開しているところがほとんどなので、まずはネットから挑戦してみてください。

Quintessence(カンテサンス)
https://www.quintessence.jp/

それでは、今日も最高においしい1日を!

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