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上品な茶懐石と空間すべてが至福、ひとりでも快適「ごだん 宮ざわ」
食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。昨年末、一人で京都に行ってきました。泊まったホテルや商業施設について書いてきましたが、今回からは、京都で食べたものをリポートします。
今回紹介するのは京都市営地下鉄「五条」駅から徒歩3分の「ごだん 宮ざわ」。ミシュランの常連、食べログ百名店などにも選ばれている人気店。ネットで予約できるので便利です。大好きなお店。
カウンター8席(個室もあり)。茶室のような凜とした空間ながら温かみがあって、初めてでも女性ひとりでも居心地よいのが不思議。前回の訪問はコロナ前だったので「ああ、戻ってこられたー!」と感無量でした。
店主の宮澤政人さんは、この「ごだん 宮ざわ」と「じき 宮ざわ」(錦市場近く)の2店を運営されています。
昼、夜ともに「おまかせ」のみ。「炒り米のお茶」に続いて「稼ぎ頭」からコースが始まります。
柔らかい卵の地に百合根のしゃくしゃくした食感が楽しい先付、きじハタのふわっとした身が浮かぶ熱いお椀で。温まります。
お造りは「ふぐぶつ」。うま味が強いふぐのお造りをさっぱりしたポン酢とふぐねぎで。極細のふぐねぎ、辛味が少なくて好きです。
そして「宮ざわ」といえば、の名物料理「焼き胡麻豆腐」。焼きもちのようなごま豆腐をスプーンですくうと、やけどしそうに熱々で濃厚なごまのソースがとろーっと出てきます。それをふうふうしながらいただく料理。各季節の食材が使われています。今回はかぶ。白味噌あんがかかっていました。
アマダイの揚げ物や蒸し物(記事冒頭の「自家製カラスミの飯蒸し」)、和え物と続いて、コース後半の「食事(選べるシメの麺やご飯)」へ。今日選べるのは茶飯・カラスミそば・もりそば・温かいそばの4つでした。好きなものを好きな量だけお出しします、というスタイル。満腹だけれど、説明を聞くと、食べずにはいられなくなる……まんまと美食マジックにかかります。
「カラスミのそば」はこちらも名物。マイクロプレーンのおろし金を使い、自家製カラスミを目の前でザクザクとパルミジャーノ・レッジャーノのように振りかけるプレゼンテーションは見ものです。
私たちがそばを楽しむ間に、目の前のカウンターの中では、着々と次のご飯の釜が準備されていきます。
ご飯は2回に分けて出されます。最初は「炊きたて」の一つ前の段階、「煮えばな」をひと口分だけ。おかゆに近いような、水気のある食感が新鮮。それをいただいている間にさらに釜の中で蒸らされ、二膳目は炊きたての状態で、赤だしや香の物と一緒に味わいます。
ごはんも香の物、赤だしもすべておかわり自由。もう少しいかがですか、と勧められますがこの時点でだいたい、相当お腹はいっぱい。でも食べたい。「あともう少し、胃が大きければ……」と毎回自分のヤワさを呪ってしまう瞬間。
最後に水菓子とお茶が出て、コースは終了。京都産の「代白柿(だいしろがき)」が、半透明で、そのままでゼリーのような甘さと食感でした。
ちなみにドリンクはビール、ワイン、日本酒、焼酎とひと通りそろっています。この日は日本酒で通し、最初の「稼ぎ頭」のほか2種類堪能しました。
「お好きな酒器をお取りください」と勧められ、箱の中から選ぶのもワクワク!この高揚感もコースの味を引き立たせてくれます。
「ごだん 宮ざわ」は高級感のあるしつらいに最初は緊張しますが、初めてでも女性一人でも、温かく迎えてくれます(宮澤さんや料理人さんたちとの気軽なおしゃべりもたくさんできて、むしろゆるいくらい)。私が京都に仕事で行くようになったのは7年前からで、「ごだん 宮ざわ」は(「じき 宮ざわ」も)、当時からウェブサイトの予約をされていました。
ちなみに今回、私以外にいたのはカップル、母娘のお二人客、アメリカからの外国人観光客の方二人連れ。もちろん全員知らない人同士ですが、自然と少し会話もし、和やかな雰囲気でみなさんで美食を楽しみました。
気負わず、ぜひ一度京都の美食を体験してみてほしいです。
ごだん 宮ざわ
- 所在地 京都府京都市下京区東洞院通万寿寺上ル大江町557
- 電話番号 075-708-6364
- 営業時間 12:00(13:00最終入店)〜、18:00〜、20:30〜(各一斉スタート)
- 定休日 火曜、不定休
それでは、今日も最高においしい1日を!
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