フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

【京都の美食】ひとりでも快適!至福の茶懐石を空間ごと味わう「ごだん 宮ざわ」

京都の日本料理「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

「自家製カラスミの飯(いい)蒸し ムカゴと銀杏」。優しい塩気とうま味が、もち米の食感と合わさり至福の時間。もち米は滋賀県長浜産。
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上品な茶懐石と空間すべてが至福、ひとりでも快適「ごだん 宮ざわ」

食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。昨年末、一人で京都に行ってきました。泊まったホテルや商業施設について書いてきましたが、今回からは、京都で食べたものをリポートします。

今回紹介するのは京都市営地下鉄「五条」駅から徒歩3分の「ごだん 宮ざわ」。ミシュランの常連、食べログ百名店などにも選ばれている人気店。ネットで予約できるので便利です。大好きなお店。

京都「ごだん 宮ざわ」の内観の画像

茶室のような静謐さ。でも緊張感はなく居心地よいのが不思議。(c)asanoyoko.com

カウンター8席(個室もあり)。茶室のような凜とした空間ながら温かみがあって、初めてでも女性ひとりでも居心地よいのが不思議。前回の訪問はコロナ前だったので「ああ、戻ってこられたー!」と感無量でした。

京都「ごだん 宮ざわ」の料理長が店の前で立つ様子

店主の宮澤政人さん。なぜか正面からの撮影はNG?だそう(笑)。気さくな方です。(c)asanoyoko.com

店主の宮澤政人さんは、この「ごだん 宮ざわ」と「じき 宮ざわ」(錦市場近く)の2店を運営されています。

昼、夜ともに「おまかせ」のみ。「炒り米のお茶」に続いて「稼ぎ頭」からコースが始まります。

京都「ごだん 宮ざわ」の飲み物の画像

香ばしい「炒り米で淹れたお茶」。スプーン1杯くらいの少量がまた上品。(c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の飲み物の画像

おしるし(乾杯)は京都産の「稼ぎ頭」が定番。軽くて酸がきいたワインのような日本酒。(c)asanoyoko.com

柔らかい卵の地に百合根のしゃくしゃくした食感が楽しい先付、きじハタのふわっとした身が浮かぶ熱いお椀で。温まります。

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

先付「百合根の玉締め ばちこ(干したナマコの卵巣)と三つ葉」。“とろり”と“シャクシャク”の食感が楽しい。 (c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

「きくらげとキジハタ ほうれん草」。ハタのむっちり、濃厚な肉質をすっきりしただしで味わう上品なお椀。(c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の料理人がふぐをさばく様子

ふぐのお造りを準備する様子。“たこ”ぶつ、ならぬ「ふぐぶつ」です。(c)asanoyoko.com

お造りは「ふぐぶつ」。うま味が強いふぐのお造りをさっぱりしたポン酢とふぐねぎで。極細のふぐねぎ、辛味が少なくて好きです。

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

お造り「ふぐぶつ ポン酢 自家製七味」。辛味の少ない、ふぐ専用の極細「ふぐねぎ」と。

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京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

名物の「焼き胡麻豆腐」。今回はかぶを練り込んだもの。白味噌あんと炒り辛子で。

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そして「宮ざわ」といえば、の名物料理「焼き胡麻豆腐」。焼きもちのようなごま豆腐をスプーンですくうと、やけどしそうに熱々で濃厚なごまのソースがとろーっと出てきます。それをふうふうしながらいただく料理。各季節の食材が使われています。今回はかぶ。白味噌あんがかかっていました。

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

揚げ物「白アマダイ モロッコインゲン豆」。中央のおろしを天だしに溶かすか塩、お好みでどうぞ、と。

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京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

サトイモ カニの餡がけ」。(c)asanoyoko.com

アマダイの揚げ物や蒸し物(記事冒頭の「自家製カラスミの飯蒸し」)、和え物と続いて、コース後半の「食事(選べるシメの麺やご飯)」へ。今日選べるのは茶飯・カラスミそば・もりそば・温かいそばの4つでした。好きなものを好きな量だけお出しします、というスタイル。満腹だけれど、説明を聞くと、食べずにはいられなくなる……まんまと美食マジックにかかります。

カラスミのそば」はこちらも名物。マイクロプレーンのおろし金を使い、自家製カラスミを目の前でザクザクとパルミジャーノ・レッジャーノのように振りかけるプレゼンテーションは見ものです。

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

カラスミの冷たいそば」(半量)。フレンチやイタリアンのシェフが使うおろし金を使い、チーズのようにザクザクと目の前で振りかける。(c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

「アマダイのだしの温かいそば」(半量)。じわっとうま味がひろがるだしにゆずが香る、淡白なのにとても印象深い味。(c)asanoyoko.com

私たちがそばを楽しむ間に、目の前のカウンターの中では、着々と次のご飯の釜が準備されていきます。

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

一人1台ずつ羽釜で炊く最後のご飯。蒸らし準備中。(c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

一膳目は「煮えばな」で。水気があり食感はおかゆやリゾットに近い。これはこれで好き。(c)asanoyoko.com

ご飯は2回に分けて出されます。最初は「炊きたて」の一つ前の段階、「煮えばな」をひと口分だけ。おかゆに近いような、水気のある食感が新鮮。それをいただいている間にさらに釜の中で蒸らされ、二膳目は炊きたての状態で、赤だしや香の物と一緒に味わいます。

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

二膳目は炊き上がった白ご飯と赤だし、香の物、じゃこなどご飯のお供も。(c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の料理の画像

白味噌で炊いた自家製のおじゃこ。絶妙な塩気がまた後を引いて。香の物もおじゃこもご飯もおかわり自由なのだけれど、お腹の余白が……。無念。(c)asanoyoko.com

ごはんも香の物、赤だしもすべておかわり自由。もう少しいかがですか、と勧められますがこの時点でだいたい、相当お腹はいっぱい。でも食べたい。「あともう少し、胃が大きければ……」と毎回自分のヤワさを呪ってしまう瞬間。

最後に水菓子とお茶が出て、コースは終了。京都産の「代白柿(だいしろがき)」が、半透明で、そのままでゼリーのような甘さと食感でした。

京都「ごだん 宮ざわ」のコース最後の水菓子の画像

水菓子「渋みを抜いた代白柿(だいしろがき)(右)と自家製栗きんとん(左)」。京都産の高級柿。透き通った、ゼリーのような果肉にびっくり。

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京都「ごだん 宮ざわ」の最後のお茶の画像

最後にお抹茶でほっと一息。(c)asanoyoko.com

ちなみにドリンクはビール、ワイン、日本酒、焼酎とひと通りそろっています。この日は日本酒で通し、最初の「稼ぎ頭」のほか2種類堪能しました。

「お好きな酒器をお取りください」と勧められ、箱の中から選ぶのもワクワク!この高揚感もコースの味を引き立たせてくれます。

京都「ごだん 宮ざわ」の選べる酒器が箱にずらっと入った画像

酒器は「お好きなものをお取りください」と選べるスタイル。(c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の日本酒の画像

純米吟醸立山(たてやま)」兵庫・立山酒造。(c)asanoyoko.com

京都「ごだん 宮ざわ」の日本酒の画像

純米大吟醸「建都」京都・城陽酒造。(c)asanoyoko.com

「ごだん 宮ざわ」は高級感のあるしつらいに最初は緊張しますが、初めてでも女性一人でも、温かく迎えてくれます(宮澤さんや料理人さんたちとの気軽なおしゃべりもたくさんできて、むしろゆるいくらい)。私が京都に仕事で行くようになったのは7年前からで、「ごだん 宮ざわ」は(「じき 宮ざわ」も)、当時からウェブサイトの予約をされていました。

ちなみに今回、私以外にいたのはカップル、母娘のお二人客、アメリカからの外国人観光客の方二人連れ。もちろん全員知らない人同士ですが、自然と少し会話もし、和やかな雰囲気でみなさんで美食を楽しみました。

気負わず、ぜひ一度京都の美食を体験してみてほしいです。

京都「ごだん 宮ざわ」の外観の画像

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ごだん 宮ざわ

 

それでは、今日も最高においしい1日を!

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