文章は誰でも書ける!出版業界四半世紀のフードライターが解説します
こんにちは、食限定の取材歴20年のフードライター浅野陽子です。
いつも食べる話ばかりですが、今回は初めてプロの「文章術」について書きます。
「学生時代から文章を書くのが苦手」
「パソコンでワードの画面を開くと頭も真っ白になる」
「子どもの作文の宿題を見てあげたいが、アドバイスが全くできない」
という方、多いのではないでしょうか。
実は文章(普通の作文)を書くのに「文才」は要りません。
「文章を書けない」「書き方がわからない」人は、書くためのテクニック(と言ってもシンプルです)を知らないだけ。
究極に言えば、この4つのテクニックさえわかれば書けるのです。
私は大学卒業後、新卒で出版社に入社し、2年目で別の出版社(ダイヤモンド社グループ)に転職。
そこで食やワインに関する取材を担当したことから30歳前に独立し、フードライターになりました(言いたくないけど現在40代後半です)。
今回の記事では、出版業界25年以上の職業ライターの私が考え抜いた、作文嫌いでも誰でも「スラスラ文章を書けるようになる4つのテクニック」を紹介します。
誰でも文章がスラスラ書ける4つのテクニック
学生時代の読書感想文に始まり、大学のレポート、社会人の業務報告書、子どものお受験用の志願書など、「文章を書く」という場面は何歳になっても結構発生します。
「書け」と言われて頭が真っ白になったり、「うーん」と悩んでしまう人は、以下の4つができていません。
この4つは、私含め、文章を書くプロは毎回必ずやっています。
逆に言えばこの4つさえマスターできれば、誰でもある程度はプロのように文章が書けます。
まずはこの4つをやってみてください。
読むだけでも「あ、そういうことか!書けそう」という気になるのではと思います。
テクニック1:「誰が」その文章を読むのかを徹底的に考える
あなたは何かの文章を書くことになりました。
文章の「お題」も与えられています。
さあ今、何を考えているでしょうか?
「お題」についてでは?←はい、ストップ!(笑)
文章で良い評価をもらいたい、素晴らしいと思ってもらいたいなら、考えるべきは「お題」ではなく、「その文章を誰が読むのか」です。
あなたが書いたものを読む人は
- あなたの直属の上司なのか
- 大学のゼミの担当教授なのか
- あなたの子どもの担任の先生なのか
「あなたの文章をこれから読む人」の顔を徹底的に思い浮かべてください。
つまり読者です。
「文章が書けない」という人は読者ではなく、「自分が何を書こうか」を考えてしまっています。
読み手=自分自身になってしまっているのです。
これでは高評価をもらう文章は書けません。
我々プロのライターや記者は、自分が書く媒体の「読者」のことを徹底的に考え抜いて文章を作っています。
その読者に合わせた企画を立て、読者にとって読みやすい文体で記事を書きます。
ということで、文章のお題が与えられたら「読者」の顔を思い浮かべてください。
すると、
「ふんふん、あの先生ならまじめで前向きなまとめ方が好きそう」
「うちの上司はとにかく『結論ファースト』じゃないと読んでくれなさそう」
など。
読者を想像するだけでも、これから書こうとする文章の輪郭が、ぼんやりと見えてくるのではないでしょうか。
テクニック2:徹底的に『型』にはめて書く
あなたの文章を読んでくれる「読者」が想像できたら、いきなり真っ白のワード画面や紙に書き出さず、次は「文章の型」をイメージします。
あなたが今ふんわりと「こんなことを書こうかな」と頭に浮かべていることを、徹底的に「型」にはめるのです。
日本の作文教育ではいまだに
「思ったことを自由に書け」「感じたままに書け」
という「型にはめないスタイル」が主流です。
が、スラスラ書けるためのテクニックは徹底的に『型にはめて』書くことです。
型はなんでもよいです。
- 起承転結(イントロや登場人物紹介→話が進むプロセス→クライマックス→結末)
- サンドウィッチ法(序論→本論→結論)
- PREP法(主張→理由→その裏付け例→もう一度主張)
など、「文章 型」と検索するだけで無数に出てくると思います。
サンドウィッチ法はウェブライティングの王道の型です。
そして「会社のレポート」をサンドウィッチ法の型に当てはめて書くなら、
- 序論:私は先日、○○の調査のため、××県にある弊社の工場を視察しました。
- 本論:今回の視察はこんな旅程でした。その中でこういうことがあり、こんな改善点に気づきました。
- 結論:視察の結果、●●すべきという結論を導き出しました。その実現のため、具体的に我々本部の当チームはこうした施策を行うことが最善策です。
とても端的ですが、ざっとこんな流れになると思います。
「型にはめたら画一的になるのでは?」と思うかもしれまぜんが、大丈夫です。
文章は不思議で、「同じ型」を同じ人が使い回しても、異なるテーマなら毎回全然違う文章になります。
そして「同じ型」と「同じテーマ」で「2人以上の違う人」が書くと、できあがる2本の文章はまた全く違うものになります。
文章が苦手な人は、まず型にはめて、流れを作り、書くためのハードルを思いっきり下げてから自由に書き出すことが大事です。
テクニック3:あなたしか知り得ない「特選ネタ」を必ず一個以上盛り込む
3つのテクニックの中で、これが唯一、ちょっと難易度が高いです。
プロのライターでもできていない人は多いですが、うまい書き手は必ず実践しています。
そのお題を書くに当たっての特選ネタを1個(できれば1個以上)、「山場」として文章の半ばで盛り込むのです。
これができれば、本当に骨太の、読み手が心から納得する面白い文章が誰でも書けます。
何か文章を書くことになったら、この「山場」で何を書くかを先に考え抜きましょう。
逆に「今回の文章にぴったりの特選ネタ」が1個でも見つかったら、書く前からすでに、良い文章(会社のレポートでも読書感想文でも)が8割方完成したようなものです。
「特選ネタ」と言っても、別に“政界をゆるがす大スクープ”ではありません。
その文章のお題や、お題となった現場であなたしか知り得ないネタ(またはアイデア、思いつきでも)のことです。
たとえば先ほどの「工場視察レポート」なら、
- ××支社で取り入れられているこの施策は、実は社員ではなく、夏休みに勤務していた高校生のアルバイトが発案したものであることを今回の視察で初めて知った。
斬新なアイデアは思わぬところから生まれるものだ。
本部の別の事案でも、広く柔軟にアイデアを募ることが肝心だと気づいた。
または、
- ××工場の製造工程で重要な指針となっている温度および湿度調整は、実はマニュアル化されておらず、長年勤務する○○さん一人の管理に任されていたのが意外だった。
○○さんの負担も大きく、不安定さは否めない。科学的な調査を入れて数値を平準化し、それを全社で共有するなど、来期中に改善のための施策を見出すべきではないだろうかと感じた。
などです(あくまで架空の例なので「ちゃんとした会社がそんなズサンな管理をしているわけない!」といった反論はご容赦ください)。
要するに、「こんなことがありました、こう思いました、こう結論付けました」という平易な流れの文章に「現場で見聞きしたあなたしか知り得ない特選ネタ」を1個でも入れるのです。
読書感想文など、見聞きする「現場」がないタイプの文章なら、その本を読んで「あなただけが感じた(思いついた)こと」でもよいです。
『赤毛のアン』なら、「同じ設定を自分が通う○○中学校2年B組に置き換えてみたらどんなことが起きるか、先生やクラスメートがどんな対応をするか考えてみた」や、
『走れメロス』なら、主人公のメロスでなく、あえて「人質に取られた親友のセリネンティウスを自分だと想像してみた、するとこういう感情が浮かんできた」など。
さらに大事なのは、その思いつき自体が「斬新で素晴らしい発想」である必要はなく、「あなたしか知り得ない(考えつかない)」こと、これがポイントです。
このオリジナルの特選ネタが1個入るだけで「なるほど、おお!」「へえ、面白い」と、何かを読み手の心に響かせられる文章が完成します。
テクニック4:1〜3をじっくり考え、“脳みそから文章があふれそうになって初めて”書き出す
そして最後の4つめのテクニックです。
スラスラ文章を書きたいなら、いきなり書き出してはいけません。
前述の1〜3についてじっくり考え、頭の中から文章があふれだしそうになったら、初めて書き出します。
考える時間は決まっていません。
私は20分ほどですぐ書くときもあれば、電車の移動中など、2〜3日考え続けることもあります。
いずれにしても、「考える前に書き出さない」ことがスラスラ文章を書くために大事です。
そして最初に、できればパソコンでなく鉛筆を持って、ざっくり何をどの順番で書こうとしているのか、簡単なメモを書き出してみてください。
書ける人はいきなりパソコンで書いてもよいのです。
ですが私はワードを開いて、カーソルがカチカチ点滅しているのを見ると「何をどの順番で書こうとしていたのか」すぐふっ飛んでしまいます。
そのときにメモがあれば「最初の発想」に頭を戻せるので結局早いのです。
メモは「手書きかパソコン」か問題、私の結論
ちなみにそのメモも手書きでなくパソコン(やスマホ)で打った方が早いんじゃないの?と思うかもしれません。
しかし手は脳とつながっています。
「手で紙に書く」と、脳の中身を取り出して「概念を言語化」する感覚を、パソコンで打つより、よりリアルに得られるのではと思います。
さらに手書きのいいところは、フォーマットが自由なことです。
パソコンは行単位でずーっと書き続けるのには適しています。
が、矢印をななめに伸ばしたり、大事なポイントに下線を引いたり、二重線で消した文字をそのまま残しておいたり、という手書きなら簡単なことが、キーボードから一度手を離し、ワンアクションを足さないとできません。
文章を書く前に、思考の整理をスムーズにする、という点でも「手書き」はおすすめです。
1〜4のライターのテクニック、ぜひおためしください!
「作文嫌い必見!文章をスラスラ書くための4つのテクニック」、ご紹介しました。
文章が書けない〜と毎回考えてしまう方は、ぜひおためしください。
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