「ミシュラン9年連続一ツ星シェフのユニークな修業話」以上の充実コンテンツ
こんにちは、フードライターの浅野陽子です。
今日は最近読んだ本の話。
「なぜ星付きシェフの僕がサイゼリヤでバイトするのか?〜偏差値37のバカが見つけた必勝法」(村山太一・著)です。
タイトルの意外性だけでもかなり引きがありますが、読んでみると「ミシュラン一ツ星シェフのユニークな修業話」の話以上の、充実した内容がたくさん詰まっていました。
飲食業界の人はもちろん、すべての「私ってこういう働き方、生き方でいいんだろうか」と迷える大人が読んで、面白い本だと思いました。
旧態依然の飲食業界の慣習どっぷりだった村山さんが、サイゼリヤのアルバイトで開眼
本書で紹介されているメインの話は、このタイトル通りです。
著者の村山太一さんは、ミシュランガイド東京で9年連続(執筆当時、現在は11年連続)1ツ星を獲り続けている目黒区のイタリアン「L'ASSE(ラッセ)」のシェフ。
そんな日本の料理界のベテランが、40代前半であえて大衆チェーンのサイゼリヤのアルバイトに挑戦。開眼する話です。
飲食業界は、今もシェフを頂点とした強烈なタテ割りの仕組みが残る世界。
長時間労働や、先輩が後輩に丁寧に指導することもなく「仕事は盗んで覚えろ」が当たり前。
お店の経営やシェフである自分の旧態依然の態度にも、いろいろなひずみを感じた村山さんは、最小人数で好利益を出し続けるサイゼリヤの経営手法に興味を持ちます。
ラッセの定休日にアルバイトしてサイゼリヤに飛び込み、そこで「目からウロコ」体験を連発。
学んだ気づきをラッセに持ち帰り、店の経営を劇的に改善し、人間関係も円滑にしました。
それだけでなく、2020年のコロナ禍も黒字を出し続け「飲食業界の奇跡」と評判になった話を紹介しています。
全体を通して伝えたいのは「人は40代からでも挑戦し、新境地を開ける」
その「サイゼリヤエピソード」以外にも、
- これまでの村山さん自身の歩みやイタリア三ツ星店での修業時代の話
- ご自身が生き抜く術として発明した「サバンナ思考」や「マヨネーズ理論」
- 村山さんが生きる指針として常に読み返している読書リスト
なども紹介して読み応えがありました。
この本全体で伝えたいのは「人は40代からでも(いつでも)挑戦し、新境地を開ける。そのために大事なのは、一度、自分の頭をゼロにして無我夢中で理想像をまねし、やり切ること」です。
私自身が仕事をしている飲食業界の話なのでとてもわかりやすかったですが、すべての業界の仕事人や、仕事を今していない人もでこれからなにか始めたい!、と思っている人にはとても参考になるのではと思いました。
「どうせ○○だし」と自分にフックをつけるのは簡単。
でも取り払って走り出すことで次の成果が見える。
そのためには「バカ」になれ。スピードも必須。
村山さんが発信しているのは、明確でシンプルなメッセージです。
人生に行き詰まったとき、読んでみてくださいね。
それでは、今日も最高においしい1日を!
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