イタリア北部の銘醸地「オルトレポ・パヴェーゼ」と青山イタリアン
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食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。
フードライターの仕事で欠かせない、ワインやレストランのイベント。毎年春と秋は特に多く開催されます。
9月中旬に表参道で行われたワインイベントを取材してきたので、その様子をご紹介します。
今回のイベントは、イタリアの有名ワインガイド本「ガンベロ・ロッソ」とイタリアワインの銘醸地のオルトレポー・パヴェーゼ協会の協賛で行われたディナーイベントです。
会場は南青山の老舗イタリアン「エトゥルスキ」。表参道駅から徒歩3、4分で突然、こんなヨーロッパのような外観が現れます。昔から大好きな店。
ワインと料理の解説を専門家に取材しながら試食
イベントが始まる少し前、屋上では「参加できる人だけどうぞ」とゆるい感じでこんなアペリティフが開催。
きっちりではなく、なんとなく会がスタートするのがいかにもイタリアっぽい。
まだ暑さが残っていた時期で、夕暮れ時にひと口フードとスパークリングワインが最高でした!
その後、会場に私たちライターや記者が集合し、イベント開始。大きな1つのテーブルを全員で囲み、今回のワインの解説を聞き、取材しながら料理を試食します。
ワインの解説は、ワインジャーナリストの宮嶋勲さんとイタリアワインの専門家たち。
宮嶋さんには6、7年前にイタリアの食の記事でインタビューをお願いしたことがあり、「ああ、お久しぶり!」と声をかけていただきました。
この日テイスティングしたワインは計8種。イタリアのDOCG認定のワイン銘醸地「オルトレポ・パヴェーゼ」のものです。
細長いブーツの形で知られたイタリア。20州全部でワインを作っていますが、日本と同じく北から南まで風土が違い、ワインもそれぞれ個性があります。
オルトレポ・パヴェーゼは北部のロンバルディア州(首都ミラノがある)の、イタリアワインの一大産地です。雨量が少なく温暖な気候、なだらかな丘陵地帯、石灰岩の土壌(水はけがよい)でローマ時代からワインを作ってきたそう。
ワインが注がれ、ペアリングの競演がスタート
まずはスパークリングから。エレガントで繊細な泡立ち。「イタリアで最も優れたメトード・クラシコ(瓶内2次発酵)ワイン」と称されることもあるそうです。
「食べる花束」のような美しい前菜と。2品目はカボチャをふわふわのスフレ生地で。
葉っぱは、焼いたクッキー生地。皿に敷き詰められているのはひまわりの種で、全部食べられます。
次はロゼ(ピノ・ネロ種)のスパークリングと合わせたサーモンの前菜。丸いボールを開けると、ふわっとスモークが立ち上ります。
料理のスモーキーな香り(燻蒸香)が、ロゼのスパイス香と重なっています。イクラとサーモンのピンク色とも合い、視覚にも臭覚にも響く、これぞペアリング。
ワイン3種目は白(リースリング100パーセント)。樹齢40年以上の古木、ステンレスタンク。ミネラル感、パイナップルのような香りが特徴。
合わせるのはサラダ仕立てにしたブリ。キウイの香り、ヨーグルトの酸味がリースリングの酸味とぴったり。
ここからは赤です。解説によると、右から2番目のBONARDA(ボナルダ)は価格はおさえめ(日本で2000円台前半で買えるものも)で、イタリアでは地元の人がデイリーワインとして飲むワインだそう。
これがコク赤ながら微発砲で、おいしくって!
赤ワインなので、合わせる料理も当然、肉を使ったパスタでしたが、微発砲の赤でさっと肉の脂を流すペアリング、最高でした。
メインは鹿児島産和牛のイチボのステーキを、タンニンのやわらかいピノ・ネロと合わせて。
そして最後は「SANGUE DI GIUDA(=ユダの血)」という赤ワインと、デザートを合わせました。
名前はおどろおどろしいですが、アルコール度数が赤ワインにしてはとても軽めの7%。やや甘口の飲みやすい赤でした。
料理とワインは以上で終わり。
わりと難解になりがちなワインの取材ですが、宮嶋さんの説明は、
「地元の人は気軽に飲んでいます。お高いワインじゃないけれど、するする飲んでいつのまにか空になっている、飲みやすいワイン」
「実はこの銘柄、お手頃なエントリーレベルの方が味はうまいんです」
「まだ生々しさがあるワインだが、逆にこの荒削りな感じゆえの可能性を秘めている」
など、身近な言葉で時にジョークも交え、とってもわかりやすかったです。
エトゥルスキの、季節の食材をうまく取り入れたエレガントなコースも最高でした。
それでは、今日も最高においしい1日を!
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