フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

【イタリアワイン】「オルトレポ・パヴェーゼ」×南青山イタリアン「エトゥルスキ」の競演イベント

イタリア北部の銘醸地「オルトレポ・パヴェーゼ」と青山イタリアン

ワイングラスと皿が並ぶ様子

青山イタリアンの老舗「エトゥルスキ」にて開催

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 食限定の取材歴20年、フードライターの浅野陽子です。

 フードライターの仕事で欠かせない、ワインやレストランのイベント。毎年春と秋は特に多く開催されます。

 9月中旬に表参道で行われたワインイベントを取材してきたので、その様子をご紹介します。

1996年開業の老舗イタリアン「エトゥルスキ」の外観。

イベントの会場となった「エトゥルスキ」。1996年開業の老舗イタリアン。

 今回のイベントは、イタリアの有名ワインガイド本「ガンベロ・ロッソ」とイタリアワインの銘醸地のオルトレポー・パヴェーゼ協会の協賛で行われたディナーイベントです。

 会場は南青山の老舗イタリアン「エトゥルスキ」。表参道駅から徒歩3、4分で突然、こんなヨーロッパのような外観が現れます。昔から大好きな店。

ワインと料理の解説を専門家に取材しながら試食

エトゥルスキの屋上で行われたアペリティフの様子

屋上で行われたアペリティフの様子。フィンガーフードと合わせたのはオルトレポ・パヴェーゼスプマンテ(「LOSITO & GUARINI, OLTREPO PAVESE DOC ROUn NUsES SONANTE BRUT 2022 LE BOLLE」)

 イベントが始まる少し前、屋上では「参加できる人だけどうぞ」とゆるい感じでこんなアペリティフが開催。

 きっちりではなく、なんとなく会がスタートするのがいかにもイタリアっぽい。

 まだ暑さが残っていた時期で、夕暮れ時にひと口フードとスパークリングワインが最高でした!

イタリアワインの関係者が並ぶ様子

(左から)ワインジャーナリストの宮嶋勲氏、ガンベロロッソ『ヴィーニ・ディタリア』編集長のマルコ・サベリコ氏、オルトレポ・パヴェーゼ協会ディレクターのカルロ・ヴェロネーゼ氏。

 その後、会場に私たちライターや記者が集合し、イベント開始。大きな1つのテーブルを全員で囲み、今回のワインの解説を聞き、取材しながら料理を試食します。

 ワインの解説は、ワインジャーナリストの宮嶋勲さんとイタリアワインの専門家たち。

 宮嶋さんには6、7年前にイタリアの食の記事でインタビューをお願いしたことがあり、「ああ、お久しぶり!」と声をかけていただきました。

イタリアワインのボトルが並ぶ様子

この日テイスティングしたワインはスパークリング3種、白1種、赤4種の計8種。

 この日テイスティングしたワインは計8種。イタリアのDOCG認定のワイン銘醸地「オルトレポ・パヴェーゼ」のものです。

 細長いブーツの形で知られたイタリア。20州全部でワインを作っていますが、日本と同じく北から南まで風土が違い、ワインもそれぞれ個性があります。

ワイナリー様子を写した公式画像

なだらかな丘にぶどうの木が並ぶイタリアの一大産地。オルトレポ・パヴェーゼ協会の公式画像より。©️Consorzio Tutela Vini Oltrepò Pavese

 オルトレポ・パヴェーゼは北部のロンバルディア州(首都ミラノがある)の、イタリアワインの一大産地です。雨量が少なく温暖な気候、なだらかな丘陵地帯、石灰岩の土壌(水はけがよい)でローマ時代からワインを作ってきたそう。

ワインが注がれ、ペアリングの競演がスタート

ワイングラスが並ぶ様子

「イタリアで最も優れたメトード・クラシコ(瓶内2次発酵)ワイン」と称されることも。
右:TENUTA TRAVAGLINO, OLTREPÒ PAVESE DOCO METODO CLASSICO EXTRA BRUT CUVÈE 59
左:CA DI FRARA, OITREPO PAVESE DOCG MIETODO CIASSICO PINOT NERO ROSÈ EXTRA BRUT

 まずはスパークリングから。エレガントで繊細な泡立ち。「イタリアで最も優れたメトード・クラシコ(瓶内2次発酵)ワイン」と称されることもあるそうです。

エトゥルスキの前菜

前菜「カボチャのエスプーマ フォアグラ添え」

エトゥルスキの前菜

スフレやクリームがパリパリの皮に包まれ「食べる花束」のよう。

「カボチャのスフレ」

「食べる花束」のような美しい前菜と。2品目はカボチャをふわふわのスフレ生地で。

 葉っぱは、焼いたクッキー生地。皿に敷き詰められているのはひまわりの種で、全部食べられます。

エトゥルスキの前菜

この、丸いボールのようなものは?ふたを開けると……↓↓

エトゥルスキの前菜

「燻製サーモン、ウイキョウのパンナコッタ」

 次はロゼ(ピノ・ネロ種)のスパークリングと合わせたサーモンの前菜。丸いボールを開けると、ふわっとスモークが立ち上ります。


 料理のスモーキーな香り(燻蒸香)が、ロゼのスパイス香と重なっています。イクラとサーモンのピンク色とも合い、視覚にも臭覚にも響く、これぞペアリング。

ワイングラスが並ぶ様子

左:FRECCIAROSSA, ORTREPO PAVESE DOC RIESLING BIO 2021 GLI ORTI

 ワイン3種目は白(リースリング100パーセント)。樹齢40年以上の古木、ステンレスタンク。ミネラル感、パイナップルのような香りが特徴。

エトゥルスキの料理の画像

炙り焼きにした鰤(ぶり)とキウィ、ヨーグルトソース」

 合わせるのはサラダ仕立てにしたブリ。キウイの香り、ヨーグルトの酸味がリースリングの酸味とぴったり。

ワイングラスが並ぶ様子

右から2番目:LA TRAVACLINA BONARDA DELL'OUTREPO PAVESE, DOC FRIZZANTE 2022
左から2番目:
CORDERO SAN GIORGIO, PINOT NERO DELL'OLTREPÒ PAVESE DOC 2021 TIAMAT

 ここからは赤です。解説によると、右から2番目のBONARDA(ボナルダ)は価格はおさえめ(日本で2000円台前半で買えるものも)で、イタリアでは地元の人がデイリーワインとして飲むワインだそう。

 これがコク赤ながら微発砲で、おいしくって!

エトゥルスキの料理

「マルタリアーティ、ホロホロ島と茸のラグー」

エトゥルスキの料理

「牛ホホ肉のラヴィオリ、黒トリュフ風味」

 赤ワインなので、合わせる料理も当然、肉を使ったパスタでしたが、微発砲の赤でさっと肉の脂を流すペアリング、最高でした。

ワイングラスが並ぶ様子

中央:CASTELLO DI LUZZANO, PINOT NERO DELL'OLTREPÒ PAVESE DOC 2021 UMORE NERO

エトゥルスキの料理

和牛炭火焼、備長炭風味ナスのローストとスーゴ、バルサミコ風味」

 メインは鹿児島産和牛のイチボのステーキを、タンニンのやわらかいピノ・ネロと合わせて。

 

エトゥルスキのデザートの画像

デザート「イチジクのコンポート、スパイス香るザバイオーネとヴァニラのジェラート
合わせたワインはBERTE & CORDINI SANGUE DI GIUDA DELL 'OLTRENO PAVESE DOC 2022

エトゥルスキのデザートの画像

小菓子。

 そして最後は「SANGUE DI GIUDA(=ユダの血)」という赤ワインと、デザートを合わせました。
 名前はおどろおどろしいですが、アルコール度数が赤ワインにしてはとても軽めの7%。やや甘口の飲みやすい赤でした。

 料理とワインは以上で終わり。

 わりと難解になりがちなワインの取材ですが、宮嶋さんの説明は、
「地元の人は気軽に飲んでいます。お高いワインじゃないけれど、するする飲んでいつのまにか空になっている、飲みやすいワイン」
「実はこの銘柄、お手頃なエントリーレベルの方が味はうまいんです」
「まだ生々しさがあるワインだが、逆にこの荒削りな感じゆえの可能性を秘めている」
など、身近な言葉で時にジョークも交え、とってもわかりやすかったです。

 

 エトゥルスキの、季節の食材をうまく取り入れたエレガントなコースも最高でした。

それでは、今日も最高においしい1日を!

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