フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

[レポート]フランス人が大好きなチーズ、「コンテ(comte)」を年齢別に食べ比べしてみた

コンテチーズの画像

熟成期間によって味や香りが違うコンテ(comte)チーズを試食

こんにちは、フードライターの浅野陽子です。

8月2日に行われたフランス・コンテチーズ生産者協会の食品関係者向けセミナーに参加しました。

今回は、そのレポートです。

セミナーと言っても、東京は緊急事態宣言が始まってすぐの時期だったので、自宅にいながら、オンラインで受けたものです。

1000年以上前から造られているフランスの代表的チーズ

コンテチーズって食べたことはありますか?

アルプスに近い、フランス東部のジュラ山地で1000年以上前から手作りされているフランスの代表的チーズです(ハードタイプ)。

成城石井やカルディ、デパ地下のチーズ売り場で売っています。

手のひらの半分くらいのサイズのブロックで、800円くらい。

決してお安くはないですが、切って食べるとホクホクした栗のような食感で、味がすごーく複雑で、おいしい!

フランスでは、こうしたチーズなどの伝統食材やワインに「原産地呼称保護制度(AOCAOP)」という呼び方を付けて保護していますが(代表的なのが「シャンパーニュ」)、コンテはAOPチーズの中で最大の生産量を誇るそうです。

熟成期間で味が変わるコンテを食べ比べ

コンテチーズの画像

今回のセミナーはオンラインだったので、参加者には事前にクール宅急便でこんなチーズが届けられました。

手前から

・2歳(熟成24カ月)

・1歳半(熟成18カ月)

・1歳から1歳半(熟成14〜18カ月)

と、熟成期間別のコンテが3種類。

チーズは、熟成させることであの味が生まれますが、何ヵ月熟成させるかはそのチーズによってルールが決まっています(コンテは最低4ヵ月、最高24ヵ月)。

コンテの画像

30分以上常温に置くと一番おいしく食べられるとのことで、セミナー開始前に冷蔵庫から出して包装紙をはがします。

でもでもこれだと、「どのチーズが何歳なのか」わからなくなっちゃうので、

コンテチーズの画像(ふせん付き)

原始的ですが、ふせんで年齢をメモ(笑)

コンテチーズとパソコンの画像

それをパソコンの前におき、セミナーのZoomリンクを開いて、これでばっちりセット完了!

「世界最優秀フロマジェコンクール2015」の優勝者、デグレさんが解説!

コンテチーズのオンラインセミナーの様子の画像

セミナー開始後は、「世界最優秀フロマージュコンクール2015」の優勝者でチーズのスペシャリスト、ファビアン・デグレさんがフランスから解説。

コンテチーズの原型は、デグレさんが指差している巨大な円盤で、私の手元にあるのはそれを小さくスライスしたものです。

コンテチーズはジュラ山脈で作られますが、産地は2,300平方キロメートル。

東京都(2,191平方キロメートル)より大きい広大な場所で、自由に育った牛のミルクを使うので、牛が食べる植物や、コンテが仕込まれる季節によっても味が多様に変わるとのこと。

さらに熟成をかけ、年齢別に複雑に変化したこのコンテを、ファビアンさんの説明を聞きながら、それぞれ試食しました。

1cm幅くらいの太い棒状に切ってかじるのが、一番コンテを楽しめる食べ方だそうです。

  • 一番若い1歳半以下のコンテ(左)は、弾力があってミルクの風味が強め。
  • 真ん中の1歳半は色がやや黄色く、香りがフルーティー。食べると少しじゃりじゃりっとした食感を感じました。
    このじゃりじゃりは、コンテ特有のアミノ酸の結晶です。おいしいー。
  • 年長者(?)の2歳のコンテ(右)は、弾力がなくボキッとすぐ折れます。でも熟成感が強く、こっくりしたうま味が口の中で長ーく続くんですねー。
    香りも焦がしバターのような深い風味。じゃりじゃりもたっぷり。

このコンテの味は、正式には83種類もの表現方法があるそうです!ワイン顔負け!

フランスでは意外にも「熟成の若いコンテがよく食べられている」?!

しかしファビアンさんの説明で面白かったのが、「日本では24ヵ月など長期熟成のものありますが、フランスでは若い18ヵ月熟成の方がよく食べられています」ということ。

私の印象では、やっぱり熟女(笑)のコンテが一番味わい深いと感じ、実際にチーズ売り場で買うときも熟成期間が長い方が値段が高くなっているのですが、そうか、フランスでは若い方が好まれるかと。

日本には、フランスから数ヶ月かけて船便で運ばれてくるという事情もありますが……

要は「フランス産チーズ」というと日本人は大事に少しずつ食べがちですが、フランスではごくごく日常品なのですよね。

カルシウムやビタミンも豊富で栄養たっぷりなので、子どもがおやつにも食べるそうです。

 

ということで、約1時間半くらいのコンテチーズセミナー、たっぷり堪能しました。

こうしたセミナーは大体レストランで行われるのが普通なので、リラックスしながら自宅で受けたのは新鮮でした。

コンテチーズ、見つけることがあったらぜひ試しに買ってみてください。

切ってそのまま食べたら最高のワインのつまみ!

グラタンやホットサンドなど料理にも使えるそうです(ちょっともったいないけど)。

コンテチーズ生産者協会 公式Instagramにも、いろいろな食べ方が紹介されてます!

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