フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

乗って降りて、乗って降りて、また乗って

前回のブログではたくさんのコメントいただき勇気づけられました。コメントをくださった皆様、本当にありがとうございました。



そういえばですね、私は先週LAに取材に行ってたのでした。


詳細は、6月1日発売の「エル・ア・ターブル」で書いてることなので、ここでは書けないが、現地滞在は2泊だけ、トータル3泊4日で東京からロスに往復するという弾丸ツアー。 この仕事は忙しいながらもいろいろ勉強になり、ものすごーく楽しかった。たまたま、私が会社員時代に一度、10年前に行った取材とまったく同じものを見て帰るという出張だったので、なんだか 20代の頃の自分にタイムスリップした気がして、それもよかった。 のだが……帰りの飛行機が、それ、ありえん!ってほど遅れた。

朝9時に空港につき、ゆうゆうセキュリティも抜けて、買い物して、 12時のオンタイムに飛行機に乗り込む。そこでががーっと私は寝ていた。
しかし、ざわざわする音で目を覚ましたら、え、まだ飛行機飛んでないじゃん、とびっくりした。それどころか、周りにいた人が半分くらいいないのだ。

え、どうして? 聞けば、機材に不備があって、それをサンフランシスコまで取りに行ってる(!)から 3時間遅れるとのこと。 SFまで取りに行くって…じゃあ、あれだけゲート画面に「ON TIME」って表示してたのはなんなんだ??

チケット半券を持ってたら外に出てもいいと言われたのでとりあえず何もないロスの空港で、あんまり食べたくないバーガーキングを買って、ゲート周りで食べる。 3時に「準備できたので乗ってください」というコールがあった。

そして乗る。今度は全員着席して、シートベルトもつけて、上に荷物もしまって、ぱたぱた荷物ボックスの戸が閉まって、さあ、GO! というところで「あー…レディース&ジェントルメン、こちらキャプテンですが…」とバツの悪そうなアナウンスが聞こえ「飛行機は準備できたのですが、パイロットおよび従業員の勤務時間が超過するため、今日はやっぱり飛ばなくなりました。なので悪いけど、そのまま降りて、下で荷物ピックアップして、ホテルと食事券のバウチャーもらって、今日は1泊して明日の朝5時にきてちょ」と、たしかに、言った。

意味がわからない…っていうか、本当に、10秒くらい頭がパニックになった。まず、飛んでもいないのに自分の荷物を出発地の空港で取る、っていうことがあまりにも腹が立ち、よく理解できない。しかも、帰国が1日遅くなる!っちゅうことはあの日にやろうと思ってた、あれがずれ込んで、しかも帰国後あそこにリサーチ行かなきゃいけないのが、時差ボケのまま全然休めず、いきなり仕事ってこと?

その後、バウチャーともう一度明日チェックインする手続きを 3時間くらい長蛇の列で待って並び、その間に必死に「携帯メールで」原稿を書いて(打って?)、日本に入稿する。(これが、またなぜか字数が全然足りず、結局日本に帰って書き直す)

朝9時に空港について、その日、空港を出たのは夜8時。11時間。しかもやったのはただ「待った」という行動だけ。
その晩は近くの、おそろしく不思議な雰囲気の提携ホテルに泊まり、すでに10時くらいだったので、ほとんど寝ないまますぐにまた空港に戻り、翌朝日本に帰りました。そして、成田から本当に走るように家に帰って、すぐPC開いて夜まで原稿書いた。次の日は早朝から、千葉のすっごい遠くの町へ取材に行く。数千マイルもらったけど、本当に疲れたよ…ひたすら。

なんかそういうのもあって、たぶん気持もずれ込んで今回のような行動につながったのかもね。でもこのことが、現状打破の背中を押してくれたのかな。