フードライター浅野陽子の美食の便利帖

フードライター、食限定の取材歴20年。生パスタの専門家。執筆実績『dancyu』『おとなの週末』『日経MJ』『AERA』『NIKKEI STYLE』『TimeOutTOKYO』/書籍『おいしい無印良品』/TV出演『バイキング』『TVチャンピオン』ほか/東京都出身、青山学院大学国際政治経済学部卒、ダイヤモンド社を経て独立。ご連絡は asano.yoko[あっと]じーめーる.comへ

[映画評]「子育ての難しさに格差はない」が伝わる映画「明日の食卓」を見てきました

映画明日の食卓のポスターの画像

こんにちは、フードライターの浅野陽子です。

仕事の間のすきま時間を見つけて、現在公開中の映画「明日の食卓」を見てきました。

今回はそのレビューです(ネタバレなしで書いてます)。

小5男子を持つ3人の母の、いろんな葛藤を描く物語


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タイトルに「食卓」というワードがあったので見ました。

しかしこの作品の基本的なテーマは食ではなく、母と息子(小5)の物語です。

そしてほんわかしたストーリーではありません。

予告動画を見ただけでも、子育て真っ最中の人は全員、「うー」とか「はあー」とか小さく叫びたくなるはず……

名前は同じだけれど、状況が異なる(しかもめっちゃ大変な)、3組の親子の話が同時進行で進みます。

それぞれ大変すぎる生活、うまくいかない子育て、協力しない夫……

状況が違えども、3人の女性たちの大変さは、みんな同じです。

仕事、義理母との難しい関係、息子の友達や学校でのもめごと、なかなか自分の大変な状況を理解せず、大人気なくふるまう夫など……

子育て中っていろんなことが、なかなかうまくいかないんですよね。

でも周囲は「あなたが産んだ子どもでしょ、ちゃんと育てないと」という圧力をかけてきます。

この物語の中の女性たちは文句を言わず、すでに限界まで来ている自分をさらに奮い立たせて、キャパオーバーの状態まで進み……そして、最後はどうなるか。

これ以上はネタバレになるので、興味がある方はぜひ映画館で続きをご覧ください。

3家庭の「食卓」にいろんなリアルが現れている


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フードライターとして見ていて、興味深かったのは各家庭の食卓シーンです。

高畑充希さん演じる、豊かでないシングルマザーの家庭は、お弁当が極端に質素(焼いていないただの食パン、おかずはトマト1個を丸ごとそのままと、ゆで卵だけ)。

夕飯は肉より野菜が多めの野菜炒め、または割れた卵を使ったオムライス1品。

ある日偶然もらった、バースデーケーキが究極の贅沢になる。

逆に余裕がある尾野真千子さんの家のキッチンには、お手製のレモンウォーターが常備。

朝食は、いつも品数豊かで、ホテルのように美しくセッティングされています。

旦那さんのお夜食は、わざわざ焼いた塩鮭を一尾どんとのせた、手間のかかったお茶漬けがすっと出てくる(旦那さんは食べ終わった後、お皿を下げもしない)。

この3組の中で最もスタンダードな菅野美穂さんのおうちでは、夕飯には男の子好きするような揚げ物のおかずが並んでいる。

遠足のお弁当はウィンナーとブロッコリー、(失敗した玉子焼きからの)炒り卵と、よくある普通の家のごはん。

でもささやかながら、食卓に花を1輪飾るのも忘れない。

3家庭で食べているものや、食卓の風景に大きく違いをつけることで、生活の違いが生々しく感じられます。

そして映画を見ている人は「このそれぞれ違う親子3組、一体どうなっていくのだろう?」と引き込まれていくのです。

そして「経済的な違いはあっても、子育てや家を回すのって、みんな平等に大変だよね」という事実も、ぐいぐい伝わってきます。

シリアスな作品でしたが、「食卓の風景を各キャラクターに投影させる」という演出を見るのは、フードライターとして面白かったです。

鑑賞した「ヒューマントラストシネマ渋谷」から見た渋谷の街の画像

鑑賞した「ヒューマントラストシネマ渋谷」から見た渋谷の街。変わったなあ……

 今回は、映画「明日の食卓」のレビューを紹介しました。

子育て中で大変な女性のみなさま、

よかったら見に行ってみてくださいね。

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