フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

いろんな種類と形がある「フードプロセッサー」の使い方①(ミキサーとバーミックス編)

「フードプロセッサーが1台あるとホント便利ですよ」といろんな人に言ってますが、じゃあ何を一台めに買えばいいか、と聞かれると結構困ります。

私は種類と形がちがうものを3台持っていて、どれもすごく優秀です。全部10年以上の付き合いになりますが、各マシンによって得意・不得意がはっきりしている。だから作る料理によって使い分けています。

質問されることも多いので、一度整理してみます。ちなみに、すべて自分で買ってずっと使ってきたものなので、利点と、ちょっといまいちな点も両方、具体的に書きます。

フードプロセッサーはミキサーではない

「フードプロセッサーってミキサーなんですか?」とよく聞かれますが、別ものです。ミキサー(ブレンダーという呼び方もある)は、下の画像のようなもの。単機能でできることが少ない分、値段はFPより安くて3000〜5000円くらい。

ミキサーの得意作業は「いろんな食材を細かくしてまんべんなくまぜる」です。たとえば、

ミキサー ・明太子とクリームチーズをなめらかにまぜてディップにする ・凍らせたいちごとバナナと牛乳で自家製いちごシェイクを作る(野菜のスムージーも) など。しかしこれと同じ機能は、フードプロセッサーにも付いています。

さらにFPは、ミキサーができない ・玉ねぎやにんにくなど、切りにくい素材を均一にみじん切りする ・炒りごまを細かく挽いてすりごまにする ・パイ、ケーキなどお菓子の生地を作る こともできる。しかもどれも「秒速」です。

ミキサーは「細かくしてまぜる」という1作業のみだけど、FPは一台で総合的にいろんなことができるわけです。FP、素晴らしい…んですが、値段がミキサーより圧倒的に高い(10倍くらい差が出る場合も)。

また総合作業ができるFPの中でも、機種によってさらに得意・不得意分野が分かれるので、その辺を整理して書いてみます。

料理研究家に大人気のバーミックス

バーミックス

「フープロ界のレジェンド」(?)と言えばこれ、bamix(バーミックス)です。私も食の仕事をし始めた頃、もうほしくてほしくて、お金をためて最初に買ったFPです。

スイス製で発売60年以上、1970年代生まれの私の、さらに母親世代でも、ハイカラな人や料理研究家は海外で買って来たりしていた憧れの調理道具。値段はいまでもお高めで、付属のカップやキットが全部付いている総合セットだと、ネットでもどこで買っても3万円台前半です。

バーミックスは、ミキサー・ブレンダー機能を外に出してスティック状にしてあるので、そのまま鍋に差し込めて、じゃがいもの「ヴィシソワーズ」などポタージュ系のスープを作るのが大得意。

バーミックス以外の固定型のFPやミキサーだと「鍋から熱々の液体と具材をいったんミキサーに入れて、細かくなったらまた鍋に戻す」という結構大変な作業になるので、スープ作りにはバーミックスがないと無理だなと毎回思います。

セットの補助カップを使って「炒りごまからすりごまを少量だけ作る」のも、野菜のごまあえを作るときはとても便利で、よくやってます(だから我が家では、炒りごましか買わなくていい)。

ここに書いた「柿のごまだれ」もバーミックスの自家製すりごまで作りました↓

[blogcard url="https://asanoyoko.com/food/fruits/fuyugaki"]

あとジュースも作りやすい。グラスにいちご、バナナ、牛乳を入れてバーミックスを差し込んで回すと、グラスに入れたままジュースが作れて、そのまま飲めます。モーターが強いので素材が凍ってても強力に粉砕。

ただジュースはグラスの種類が限定されます。バーミックスが底まで入る寸胴型じゃないと作れないし、高さもないと結構こぼれちゃう。

いまいちな点

バーミックスはスープやジュースを作る機能が突出してすごいのでしょうがないとは思うけど、その他にできることが限られています。

肉を粗挽きにする、野菜をみじん切りにする、コーヒー豆をひく、大人の食事からちょこっと取り分けてつぶして離乳食を作る、など取説にそって全部やってみましたが、どうもこちらの期待通りにできない。「一部だけ細かくなる」など、仕上がりにムラが出ちゃうのです。

生クリーム泡立て

また刃のパーツを変えて、取説どおり「生クリームの紙パックを全開にし、そのままバーミックスを差し込むだけで泡立てができる」もやってみました。確かにできてボウルと泡立て器もいらず便利だけど、回転が“超超高速”なので、お菓子作りに相当熟練してないと難しいと思いました。

(ちなみに生クリームを泡立てすぎて「ホイップクリーム」としては失敗しても、そのまま固形になるまで泡立てし続ければ、おいしい自家製無塩バターが作れます。だからバターを作るにはバーミックスにはいいのかも?)

ちなみに、バーミックスと見た目や付属ツールがかなり似ていて、しかし値段が1/5くらいの、後発のブラウンのフードプロセッサーを使っている人が多いけれど、使用感は同じなのかな…これは使ったことがないので感想が書けなくてすみません。

書きたいことがまだ半分くらいなのに長くなっちゃったので、記事を分けます! 次は「クイジナートとキッチンエイド編」です。

[blogcard url="https://asanoyoko.com/tools/food-processor-variations-cuisinart"]

*キッチンツール1台で完璧な多機能を求めるのは無理、なんですが…*

バーミックス

バーミックスは本当に憧れの道具で、20代の終わりくらい、当時4万円弱くらいでやっと買えたときは本当に嬉しかった。

だからいまでもバーミックスを取り出して使うたびに、食に対する新鮮な気持ちがよみがえって、大好きなツールです。

しかし買ったとき、「もうこれ一台で何でもできる、子どもが生まれてからも使えるなんて!」という期待感であふれていたものの、長年使っていくうちに「高機能のFPとはいえ、すべてが完璧にはできないんだな」とわかってきたのです。

これからFP買いたい!とお金をためながら計画している人に、本当に参考になるリアルな情報を書きたいと思います。

続きはこちら。

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