フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

夏の最後に食べたい「冷たい麺」3つ

9月に入ったものの、なかなか夏の暑さが静まりません。こういうときに食べたいのが熱いスープ麺でなく、するする食べられる冷たい麺。

今回は、私がプライベートで行く、都内でおすすめの冷たい麺3つを紹介します。いずれも超人気店なので、ピークタイムは外して行ってみてください。

「港屋2」(大手町)の冷たい肉そば

まだ暑いいまの時期にぴったりの、冷たいそばです。肉とネギがどかんとのっています。お店が大手町の一角(5つ星ホテルの「星のや東京」内)にひっそりとあって、やたら謎めいたロケーションにもちょっとワクワクします。

どのくらい謎めいているかというとこれが外観ですが、なんの店なのか(これがお店なのかどうかも)知らないとわかりません。赤い丸で囲ったところが看板ですが、

30cmくらいまで近づかないとなにが書いてあるか見えません!しかもローマ字。「Minatoya2」とあります。

11:30開店。この日は11:20に到着したら4人目でした。そこからどんどん人が増えましたが11:30までに来たら一巡目に入れます。バーのようなシックな内観。立ち食いです。

メニューは「冷たい肉そば」1,0001品のみ。カウンターで受け取って、お客が自分で配膳し、片付けるスタイル。

冷たい肉そばです。

自然光で、どうやって頑張っても写真が美しく撮れない!でもすごくおいしいです。

日本そばですが、つけ麺の麺のように太めでコシが強い。冷しゃぶにした豚肉がやわらかく、さっぱりしています。

食べるラー油」がひと瓶入ってるんじゃないかってくらい、濃厚でピリ辛のつゆで食べます。でもこれが太いそばと肉と相性抜群。ネギの辛味もときどき感じて、どんどん進みます。

基本セットの生卵を入れて味変して、

最後はポットに入ったそば湯と天かすを入れて、つゆだけいただきます。つけつゆとして食べるとすごく濃いのに、そば湯を入れるとすっごくおいしいスープになり、ビックリ。

ちなみにメニューは1品のみで、お冷やも出ません。水分を取りたい人は自分でペットボトルなどを持ち込むと、グラスだけ貸してくれる不思議なスタイル。

11:50にはこんな行列でした。男性(3050代サラリーマン)がほとんどでしたが、女性も数人いて、みんな「おいしい〜!」と言いながら食べていました。

人気が出るのはわかる。宝探しのような不思議体験×食べたことのない味×早くておいしいにハマって、思わず人に教えたくなっちゃうんですよね。

ちなみに1340分にもう一度前を通ったらガラガラでした。ピークを外せばいけます。

****************** 港屋2(ミナトヤ・ツー) 大手町駅C1出口 徒歩2分(ホテル「星のや東京」の中にある) 営業:11:30〜売り切れ次第 定休日:土日祝 ******************

「五ノ神製作所」(新宿)の海老トマトつけ麺

次におすすめなのが、新宿にある大人気つけ麺店「五ノ神製作所」の海老トマトつけ麺880。普通のラーメンより、歯ごたえの強いつけ麺が好きで、都内でいろいろ食べ歩きましたが、ここが一番好きです。

つけ麺は、麺の多さや味の濃さを先にドカンと感じて、味わう前にいつも内臓疲れを起こしてしまうのですが、ここで食べた時は「麺もつけつゆも、なんて深いんだ!しかも食べ疲れしない!」と感動しました。

場所がちょっとわかりにくいです。新宿南口からタカシマヤタイムズスクウェアに進むと、タカシマヤの正面にH.I.S.があります。

新宿駅を左、タカシマヤを背にして、このH.I.S.のビルの左横(矢印の方向)を道なりに進む(途中突き当たりを右折する)とお店があります。

この日は新宿で朝アポがあり、そのまま駆けつけたのですが、11:06到着でも1巡目には漏れてしまい、2巡目の一番最初に。あーもう、どれほど人気店なんだ!

店の人に誘導されてチケットを購入し、20分待ってやっと入店。「海老トマトつけ麺」、やっと来ました。

もうこの濃いつけ汁の中の、さっぱり酸味のあるプチトマト、たまりません!

ちょっと香りのある太麺とこのトマト風味のつけつゆが本当においしい!

ちなみに一番麺が少ない小盛(それでもスーパーで売っている生麺一人分の1.5倍くらいあります)にすると、トッピングを1品無料で付けてもらえます。チーズ・チャーシュー・煮卵・メンマ・バジルソースから選べますが、絶対おすすめなのが一番地味なメンマ。こんなにおいしいメンマは他で味わえないです。

フランスパンが一枚付いて来て、「なぜ炭水化物がもう一つ?」と首をかしげるのですが、これも食べると納得。もちもちした麺と、カリッとしたパンの食感がまったく別物で、しかもこのつけつゆの味にぴったりなのです。

今日もおいしかった、と満足して12:00ぴったりに店を出ると、この行列。ここはじっくり作って回転が早くないので、天気の悪い日は外で待つのがつらいですが、つけ麺が好きな人も苦手な人も、一度は食べていただきたいです。

****************** らーめん 五ノ神製作所(ごのがみせいさくじょ) 新宿駅南口 徒歩4 新宿三丁目駅 E7出口徒歩3 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-33-16 シャトレー新宿御苑第一 1F 03-5379-0203 営業:11:0021:00 定休日:無休 ******************

「ぶぶか」(吉祥寺)の黒丸油そば

最後は、油そばを売り続けて20年、吉祥寺「ぶぶか」の黒丸油そば640。厳密には「冷たいそば」ではないですが、気温が高くてラーメンが食べたいけれど、熱いスープをすすりたくない日には油そば、おすすめです。

実は社会人1年目から20年以上通い続けています。最初は井の頭公園口のマルイ近くにありましたが、数年前の吉祥寺駅周辺の再開発で移転して、いまはパルコの裏手にあります。

この日は取材後、ピークタイムを外して午後2時頃に行ったのに満席で少し待ちました。

20年食べ続けて、いつもおいしいなと思う、濃さとさっぱり感のバランスの取れた味。コクのある甘辛いたれが、病みつきになります。

****************** らーめん専門店 ぶぶか 吉祥寺駅南口 徒歩4 新宿三丁目駅 E7出口徒歩3 東京都武蔵野市吉祥寺本町 0422-28-0015 営業:11:3024:00 定休日:無休 ******************

今回は、都内でもおすすめの冷たい麺3つを紹介しました。夏の最後に、熱いスープ麺は気分ではないけれど、おいしい麺を食べたくなったらぜひ行ってみてくださいね。