日本人、そして大人の教養としても日本の歴史の大まかな流れはわかっておきたいですよね。
しかし学生時代に勉強したことは忘却の彼方……大人が、てっとり早く日本史を学び直すのに最適なのは、NHKの「大河ドラマ」です。
今回の記事では、その理由を説明します。
大人は「歴史好き」だと得をする
その前になぜ、大人が日本史を学び直さなければならないのか?
単純に「大人は歴史好きだと得をする」からです。
地方に行った際、城めぐりや観光の楽しさが倍増します。
またビジネス相手との会話で「私、歴史が好きなんです」と話すだけで、「この人、勉強熱心なんだな」と勝手に(?)賢そうなイメージを思ってもらえることも多いです。
では、なぜ歴史を勉強するのに 大河ドラマが最適なのか?
1.ストーリーのある映像は頭に入りやすい
今はイラストや図解で日本史をわかりやすく解説する、大人向けの本もたくさん出ています。
たとえばこの本「東大教授がおしえる やばい日本史」も、文章よりイラストが多く、なかなか面白いです。
ですが、歴史好きの人ならともかく、本は一生懸命読まないと、頭に入ってきません。
その点、大河ドラマは「その時期、旬のトップ俳優さん」を主役にすえ、共演者も華のある俳優さんたちをキャスティングするので、それだけでまず見ようという気になります。
これは2020年放送の「麒麟(きりん)が来る」のキャスト(公式サイトからお借りしました)。
明智光秀がハセヒロ、光秀の娘で後の細川ガラシャとなる「たま」が芦田愛菜ちゃん、織田信長が染谷将太さん……って、こんな美男美女ぞろいだったかは謎ですが、まず見たくなるじゃないですか。
音楽や脚本も一流の制作チームで作っているため、作品としてトータルで入りやすく、かつ見ごたえがあります。
2.今は「大河ドラマ+(わからないことは)ネット検索」できるので面白さ倍増
「大河ドラマが最適だと思う理由」とか書いていますが、私が大河ドラマにハマり、日本史自体も好きになったのは20代後半から。
それまで大河ドラマはほとんど見ていませんでした(好きになってからは古い作品はDVDや映像サービスで見ています)。
というのも大河ドラマって、元々の歴史ファンや、見るのに慣れていない人は結構難しくて、途中でつまづきやすいんですよね。
セリフ一つでも「御公儀(ごこうぎ)」「御譲位(ごじょうい)」「平(ひら)に〜を」と、聞き慣れない用語が多い。
たとえば、戦国時代の大河ドラマによく出てくる「上洛(じょうらく)」。
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将軍:「いそぎ上洛せねば」
周りの家臣たち:「殿、今こそ御上洛必至かと!」
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と役者さんたちが言い合ってるものの、わからないと「じょうらくってそんなに大変なことなんだっけ?」と、もうドラマに感情移入できない。
私が若かりし頃、ネットで情報が充実していない時代は、わからない単語があっても「なんのことだろう……」と、ぼやっと見続けるしかなかったのです。
しかし今は「将軍 じょうらく」とスマホに入れるだけで漢字も自動変換、「将軍 上洛 意味」と次の検索候補も出てきて、それが何を意味するのか、当時の歴史的にどれほど重要なことなのか、ていねいな解説が読めるのです。
この「大河ドラマ中、わからないことをググるとどんどん理解が深まる」ことに味をしめてから、ドラマも、歴史そのものもものすごく楽しめるようになりました。
3.フィクションとはいえ史実がベースなので「本当に起きたかもしれない」ことにワクワクする
「ネット時代の大河ドラマ鑑賞」で、さらに楽しいのがこれです。
織田信長や坂本龍馬、平清盛など誰でも知っている主要人物以外に「酒井忠次(徳川家康の筆頭家臣)」といったマイナーな人たちでも、ネットで検索すると生い立ちや、家康が何歳のときから家臣になったかなど、くわしい情報が出てきます。
大河ドラマの劇中では、こうしたバイプレーヤーたちも面白くこってり描いています。
そして(ある程度)歴史的事実に基づいて物語を作っているので、ネットでその背景がわかると、さらに楽しめます。
普通の現代ドラマも、見て感激したり、ハマったりしたら、「あの子はなんであんな態度を取ったんだろう」とシーンを振り返って考えることもあると思います。
が、それらはいずれも、現実には起きていないフィクション(創作)。
しかし、大河ドラマは「あの濃いキャラクターたちが500年前に実在して、ドラマのあの事件が昔、本当に起きたかもしれない」のです。
そして彼らの決断や行動が、めぐりめぐって私たち日本人の、今の生活に結びついている。もし本能寺の変が失敗して、信長があの後もしばらく生き続けたら、家康は天下を取っていなかったかもしれない。
そうしたら260年続く江戸時代はなかったかもしれない。明治維新なんて起きなかったもかもしれない。
でもあのとき、光秀がクーデターに成功したから、秀吉がそれを引き継ぎ、家康が確立させ、しかし江戸時代も終わりが来て、江戸城は今、丸の内にある皇居となっている。日比谷公園や皇居周辺は、誰でも散歩できるフリースペースとなっている。
考えるだけでワクワクしてきませんか?
4.毎年設定が変わるので、見続けると日本史全体を網羅できる
これも大河ドラマのいいところで、制作サイドはなんとか視聴者を飽きさせず、見続けてもらうため毎年、いろんな時代を舞台にします。
日本史の最大の山場は「戦国時代」と「明治維新」ですが、それ以外にも、第一回(1964年)の東京オリンピック招致や鎌倉時代と、大河ドラマはいろいろ設定を変えてきました。
また同じ明治維新でも、ある年は西郷隆盛の目線、別の年は天璋院(13代徳川将軍の正室)の目線、と設定を変え、役者さんも変えるのでそれも飽きません。
ながーい日本史を最初から暗記するのはとても無理ですが、部分的に「あのドラマの時代だ」と少しずつ詳しくなると、結果的に日本史全体をざっくり網羅できて、歴史自体も好きになるのです。
5.意外とドラマ最後の「おまけ」コーナーが見応えがある
あと大河ドラマは毎回、最後に「おまけ」コーナーが必ずあります。
「◯◯の戦い(歴史的合戦)」がメインの話だった後は、戦場だったと伝えられている現在の場所を紹介する短いコーナーです。
世紀の戦いが行われた古戦場が、今行ってみるとごく普通のバス停だったり、子供が平和に遊ぶ普通の公園だったりして、それも面白い。
実際足を運ぶまでは行かなくても、へー、ここなんだ、と旅行気分で意外と私は毎回楽しんでいます。
最後に:(古いけど)大人になって一番ハマった「おんな太閤記」
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2021年の「青天を衝け」の放送済み回を含め、過去の大河ドラマはU-NEXT の見逃し配信やAmazonのDVDなどで見られます。
私が大人になって、一番面白いと思った大河ドラマはこの「おんな太閤記」。
脚本は「おしん」や「渡る世間は鬼ばかり」の作家、橋田壽賀子さん。
1981年の古い作品ですが、大人の目線で見ると最高に面白いです。
信長、秀吉、家康の三傑の時代を、その周りにいる女性の目線で描いたドラマです(主役は秀吉の正室のねね)。
秀吉は10人以上も側室がいたのに、正室のねねを含めて長らく子どもに恵まれませんでした。
しかし、秀吉が53歳のときに初めての子供が誕生。20歳の側室、茶々(信長の姪)が産んだ息子です。しかし2歳で病死。
その2年後、秀吉が56歳で2番目の息子(豊臣秀頼)が誕生。
正室のねねとと秀吉は当時はめずらしい恋愛結婚で結ばれ、しかも秀吉が亡くなるまで夫婦仲がとても良かったそうで……初めての息子が生まれたときの、ねねの心中いかばかりか。
その後、豊臣家は大阪夏の陣で家康に滅ぼされてしまいますが……そんな小説のような史実を、現代風のタッチで時代劇にしたのが「おんな太閤記」でした。
いかがでしたか、今回は「大人が日本史を学び直すのに、大河ドラマが最適な5つの理由」を書きました。
ぜひ大河ドラマ、見てみてください!