フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

「3つの熟成ヨーロッパ!」プレスランチョン


日にちが前後してしまったが、先日 「3つの熟成ヨーロッパ!」のプレス向けランチ試食会ご招待いただきました。
場所は、銀座のフレンチレストラ「le 6eme sens(ル・シズィエム・サンス)」です。 銀座の東芝ビルの出口から出て、帝国ホテルに行く途中にある。ガラス張りのオープンな雰囲気のお店。 料理系出版社の記者、編集者の皆様が一同に会する。


今回のテーマ「3つの熟成ヨーロッパ!」とは その名の通り、3つの熟成したヨーロッパの食品をもっと味わいましょう!という 会なのだ。その3つとは、
①イタリアのパルミジャーノ・レッジャーノチーズ
②イタリアのパルマ産生ハム
③フランスのコンテ・チーズ ・・と、すべて高品質と長い伝統が自慢の、自然熟成食品ばかり。
パルミジャーノ・レッジャーノは、なんと8世紀からイタリアで作られている! 熟成室で1年半~2年熟成され、プロの審査員によって合格したものだけが流通する。カルシウムやビタミンも豊富。
パルマ産生ハムは、生後10ヶ月以上の豚と、塩だけで作られる完全自然食品。 最低でも1年、最高2年半熟成されたのち、検査員が香りをチェック。その後、最終審査を経て世に出る。
コンテ・チーズは 聞きなれない名前だが、フランスのアルプス近くの山脈地帯コンテ地方で生産。山の地方独特の気候や土壌で作られ、合成添加物を一切使わない100%ナチュラルなチーズ。8ヶ月~1年の熟成期間を経て生まれる、ビンテージワインのような濃厚な風味が特長。 ・・と説明を受けながら、おなかもよい感じの受け入れ体制に。


まず前菜①「パルマハム、パルミジャーノ・レッジャーノ、コンテチーズのグジェールと薄切りにしたパルマハム」

見た目似てるけど、日本のいなり寿司ではありません。 「グジェール」とは、シュークリームの外皮の部分のようなもの。今回は中にチーズ二種が詰まっていて、つまんで食べられる。まさにワインにぴったりのメニュー。


前菜②「ザリガニとパルマハムのゼリー、じゃがいものムース添え」

あっさりした味のエビと、ホイップクリームのように軽く仕上げてある マッシュポテトを一緒に食べる感じ。 三角のがパルマハム。この塩気が全体のアクセントになっている。


メイン 「鱒(ます)の厚切りパヴェ、レモングラス・コンテチーズとパルミジャーノ・レッジャーノのリゾット」

サーモンに似ているが、もっと脂が乗っていて食べるとほろほろと崩れる感じ。 それにチーズ二種の風味が効いた、とろりとしたリゾットがとても合う。ああ、贅沢なお品。「パヴェ」とはフランス語で、もともと「敷石」、料理用語では「四角いお菓子」のこと。今回はお菓子ではなく、料理メニューですが。


メイン 「子羊のコンフィ、コンテ・チーズ風味のナスのカネロニパルマハムとパルミジャーノ・レッジャーノチーズ入りじゃがいものグラタン」

左前がコンフィ。 コンフィとはフランス語で「脂で煮る」料理法のこと。 時間をかけて煮た子羊は、うっとりするほどやわらかい。 右がカネロニ。 イタリア語の読み方は「カンネッローニ」で、 詰め物を入れて筒状に巻いたパスタのこと。でも今回はパスタではなく、 ナスをパルマハムで巻いてある。面白い。そしてこの二つはとてもよく合う。 左奥のじゃがいものグラタンも絶品。一口で食べられるグラタン。


「チーズの盛り合わせ」

ただの盛り合わせではない。 左奥:三歳(36ヶ月)のパルミジャーノ・レッジャーノ、 右奥:同 二歳(24ヶ月) 右前:一歳半のコンテ・チーズ 左前:同 6ヶ月

食べ比べてみると、本当に違いがよくわかって感激する。 人それぞれ、好みがわかれるが、私は「一歳半のコンテ・チーズ」が一番好きだった。 若いとやっぱりあっさりしていて、逆に熟成が長いほど濃く、香りも強い。 ワインのライトボディとフルボディの違いと似ている。


最後はデザート。 「ヘーゼルナッツ風味の温かいケーキ、ヴァン・ジョーヌのアイスクリーム、 コンテチーズ風味のチュイル添え」

絶品☆ この時点で相当おなかがいっぱいなのだが、やはり記者陣で残す人はほとんどいない。 でもこの業界、不思議と料理記者で、太っている人はほとんど見たことない。 なぜだろう・・? ナッツが香ばしい温かいケーキに、アイスクリームがよくマッチ。

「ヴァン・ジョーヌ」とは、フランスのジュラ地方が産地のワインのこと。 深く熟成させたワインで、色が黄色く、味もふつうのワインよりも、シェリー酒やブランデーに近い。なので、アイスにするとほろ苦い。 しかもこのアイス、実は「カレー風味」もつけてあると後から聞き・・・確かにそんな味もした。
これに、チーズ風味のチュイル(「瓦」という意味の焼き菓子)を組み合わせるシェフのセンス・・ とにかく素晴らしい、華麗すぎるランチコースでした。 ああ、優雅な時間。

Enaさん、旭エージェンシーの皆様、毎度のことながら、ありがとうございました。
ル・シズィム・サンスでは 12月7日(木)~10日(日)まで、フランスの三ツ星シェフを招いた 特別ランチ&ディナーコースを期間限定で提供します。 興味ある方はぜひどうぞ!