フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

持ち寄りホームパーティーの鉄則【レシピあり】

年末年始に特に多い「持ち寄りホームパーティー」、行かれましたか?私は自分が招くホスト側になることと、反対に招かれるゲスト側になること、両方よくあります。

自分がお客さんのときは、ホスト側の大変さがよく見えるので、極力相手の負担にならないようにしています。

「呼ばれる側」になった場合の、鉄則というか気をつけるとホスト側も楽になる(そして次回も呼ばれる?!)ポイントを書きます。

持っていく料理は「常温でおいしい」ものを考えぬく

上の写真は、毎年ある友人宅でイブ前に必ず開いてくれるクリスマスパーティーがあり、今年の会で私が持参した料理3つです。

毎年、ホスト役の人から案内が来て「一人ワイン1本料理1品の持ち寄りで、料理する場合はうちのキッチンを使って」と言われます。

キッチン道具

が、「ゲストの達人」を目指すなら、キッチンは使っちゃダメです(笑)できれば相手の家の冷蔵庫も使わないようにしたいところ。ホスト側がパーティー主催初心者の場合は特に、ですね。

広いお宅ならいいですが、日本のキッチンはたいていせまくて、複数のゲストが使うとホスト自身が料理を仕上げる場所がなくなります。先方の冷蔵庫も、出す直前のサラダなどでパンパンの場合が多い。

またホストがテンパっているときに「オリーブオイルとスプーン借りられますか?」などと聞くのは、地味に負担かけちゃうんですよね…。

なので、ホストのために持ち寄りは極力「常温で持って行ってそのままおいしく食べられるもの」を考えぬきましょう。デパ地下で買うなら、キッシュとかマリネはいいですよね!

簡単に手作りできるフランと砂肝マリネ(レシピも)

持ちよりホームパーティー

クリスマス会では、「先方での仕込み・仕上げゼロ」「常温でおいしい」「冷蔵庫使用不要」を満たしている、この3品を持って行きました。 ・アップルクランブルパイ ・ダークチェリーのフラン ・砂肝とにんにくのハーブマリネ

アップルクランブルパイ

アップルパイは、温かくても冷たくても常温でもおいしい、パーティーに最強の手作りお菓子です!

ただ、難点はパイ生地から作ると初心者は難しいのと、冬の「紅玉」りんごで作らないと味がぼやっとするので季節限定になってしまうこと。

ダークチェリーのフラン

手作りデザート初心者は「フラン」が絶対おすすめです。これもどんな温度でもおいしいのですが、簡単で絶対失敗しないので便利。スイーツは買って持っていく人が多いですが、ぜひ一度手作りに挑戦を!喜んでもらえますよー!

【フランのレシピ】 フルーツの缶詰(桃でも梨でも。今回はダークチェリー缶250gを使用)の汁気を切って型に並べる。ボウルに卵2個、砂糖90g、牛乳1カップ、生クリーム1/2カップ、ふるった小麦粉大2、裂いたバニラビーンズ1/3本、ブランデー大1をよく混ぜて、こしながら型に入れて180度オーブンで40分焼く。

砂肝の煮込み

次に「砂肝とにんにくのハーブマリネ」。これは女子会、ワイン好きの男性がいる会などいろんなパーティーで好評。 【レシピ】 砂肝300gを水洗いして、つながっている部分を切って薄切りにして、塩小さじ1をまぶし小鍋に入れる。にんにく薄切り2片分とお安めのオリーブオイル大4〜5を入れ、強火にかけて沸騰したら中火で5〜7分煮る。黒こしょうを強めにふり、好みのハーブ1本(タイム、セージ、ローズマリーなど。パセリのみじん切りだけでもOK)を入れて冷まし、ガラスびんで冷蔵保存。そのままびんごと持参。

「砂肝ってどこで買うの?」とよく聞かれますが、普通にスーパーの肉売り場で売ってます。しかもとてもお安い(笑)ただ、レバーもそうですが内臓系は新鮮なうちに料理しないと味が落ちる。なのでこのレシピも、砂肝を買った当日か翌日朝に必ず作るようにしてます。

スパークリングワインは「前日からキンキンに冷やす」

スパークリングワイン

そして、ホームパーティーの鉄則に話を戻して…この「泡ワインはキンキンに冷やしておく」、ワイン好きには鉄則中の鉄則なんですが、意外と知らない人が多い!

泡ワイン持参担当になったり、自分がホスト側で「スパークリングワインで乾杯したい」と考えたら、ぜーーーったいに前日までに買って、冷蔵庫で一晩以上キンッキンに冷やしてください。

パーティーで「ぬるい泡」ほど気持ちが萎えるものはなく、逆に700円くらいの安いスパークリングでも、乾杯で冷えたしゅわーっとした泡が口に入ると、ウキウキしてくるのです!

やっぱりお皿洗いは手伝おう

キッチンのシンク

そしてもう一つの鉄則が、「呼ばれたらお皿洗いは手伝って帰る」こと。 「お客さまに片付けさせるとは何事」「乱雑なキッチンに入られたくない人もいる」と、諸意見ありますが、ホームパーティーに呼ばれて、何も片付けしないで帰るのはありえない、と私は思っています。

「帰りの時間が迫ってて、ごめんね」と言われたら、ホスト側はそんなのいいよともちろん言いますが、同じメンバーで何度も集まると、残って一生懸命片付ける人と、早めに帰ったり、何もせずゆっくりしている人がいつも同じことが多い。

レストラン取材をたくさんしている身としては、家はパーティー会場になっても設備も人手もお店とはちがい、私たちも「お客」ではないのです。やっぱり食器を洗うとかふくとか、ホストに聞いてモノを元の場所に戻すとか、何かしらの片付けに参加すると、ホストもゲストもみんな楽になります。

やらないで、って固辞されても、せめて汚したお皿とグラスを洗い場に運ぶなど、ギリギリのところまでは必ずやっておく。

先日ある友人宅で、誰とはなく「片付けようか」と言い出し、その場にいた全員で一気に動いたら、ものすごいスピードで「到着前」の状態に戻りました。

最後にホストが甘いワインとクッキーを出してくれて、ほっとしながらみんなで少しだけ飲んで、「次はいつにしようか」と盛り上がって。ああいいな、こういうのが理想のパーティーだなと思いました。

*ホスト側をやると自分の「プロデュース力」が一気に上がる*

ホームパーティー

「呼ばれた側」の話を書きましたが、いつもゲストの人、たまには勇気を出して「呼ぶ側」になってみましょう!最初は疲れ果てると思います(笑)ホスト役は数日間、何十項目の「やるべきこと」の優先順位付けに追われるからです。

でも、慣れると自分が作るメニューを決める段階からワクワクして、自分の家がよそゆきモードに変わってピカピカするのも嬉しくなります。

なにより嬉しいのが「◯◯年の年末にやったあのパーティーは楽しかったよねー」と、何年、何十年たっても思い出して喜んでもらえることです。

仕事でも、自分が全部仕切ってプロデュースし、成功させたら達成感がありますが、自分の好きな人たちに、自分が家でプロデュースした時間をいつまでも振り返って喜んでもらえるのです。最高ですよ!