フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

心から満たされるタイ料理ランチ/「奇跡のクラーク・コレクション」へ

Photo■心から満たされるタイ料理ランチ、食べたのです。「メーヤウ」(信濃町)にて。
これは「タイ風牛肉煮込みそば」730円。

■タイカレーがすごく有名なお店で、前からときどき食べに行ってました。でもこの日はこの後、人と至近距離で会話することになっており、カレー等々、あまりにおいの強そうなものがNGで。
ならば淡泊そうなこれか。どうかわからないけどまあ、いいか、と思って頼んだのですが、すごーく美味でした!

Photo_2■ひと口め、スープからなんとも奥ゆかしい味。もやしもたっぷり入って見た目あっさり。
で、味も見た感じどおり淡泊なのだけど、そのスープの奥ゆかしさで、最後までまったく飽きずに食べられる。牛肉は八角のような、エスニカンなスパイスが結構効いてます。麺はお米の麺で、これも全然もたれない。

■このダシ何から来ているのだろう・ ・ ・よくテレビのラーメン特集で、魚介ととんこつのだしを両方使っていると「驚異のダブルスープ!」などと強調しているけど、そういう簡単な表現で言えないくらい、本当に深い、口にするごとに広がり、染み入る味でした。美味しかったー。

メーヤウ」(JR信濃町駅徒歩4分ほど)
※HPがないので「食べログ」のサイトで。

★★★★★★★★★★★★★★★★

Photo_3■食と少し離れた話ですが。
三菱一号館美術館の「奇跡のクラーク・コレクション」、行ってきました。ルノワールを中心に、フランス絵画の傑作作品が日本で見られる美術展(~5月26日まで)。


Photo_4■ここ、明治時代の旧三菱一号館の建物を再現したそうで、何度か来るたびに思うのだけど本当に素敵。建物の敷地随所に、え、ここは東京?と思うような、ぐっと心に迫る造りになってます。

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Photo_5■さて入り口を入り、エレベーターで上がって、

Photo_7■クラーク展、スタートです。以下、写真はメディア取材ルールにのっとって撮影してます(作品正面からの撮影はNG)。

Photo_8■全体を見て、私が好きだった作品をピックアップ。
まずこれ、「海景、嵐」(クロード・モネ)。
ずーっと見ていると、揺れる波、顔に強く当たるような風を感じます。

_■「シャトゥーの橋」(ピエール=オーギュスト・ルノワール)、
行ったことも降り立ったこともないのに、遠い記憶にあるような風景。懐かしくて胸が焦がれます。

Photo_9■「日没」(同じくルノワール
夕暮れの海の、静かな波の音が聞こえてくるよう。

Photo_10■「うちわを持つ少女」(同じくルノワール
この時代に日本のうちわを扱った作品がヨーロッパで描かれたということに驚き。描かれたのは1879年、明治時代初期なので、可能性としてはあるのですが。

Photo_11■「水を汲むアラブの農夫たち」(ジャン=レオン・ジェローム)、
ぼやっと抽象的な雰囲気のこれまでの印象派から、急にくっきり、写真のように鮮明なタッチにはっとしました。

Photo_12■「奴隷市場」(同じくジェローム)、
図録によると、発表当時物議をかもした作品だったそう。人をモノ扱いする理不尽な制度への、強い反発、批判のメッセージを感じます。

Photo_13■「稽古場の踊り子たち」(エドガー・ドガ)。
美術の教科書などで、有名すぎる作品。他の展示作品と比べて、圧倒的に異なる存在感を強く出していました。まず横長の額の形からして異質。
練習中の踊り子たちを、横長の窓からのぞき見しているような気分になる、不思議な作品です。。

Photo_15■と、ぐるっと、すべての作品を鑑賞しました。
観終わった後には、ほーっと、幸せなため息をつきたくなるような、充足された気分に満ちている感じ。生の絵画の前に立つと、そこに描かれた波の音、森の中で葉っぱが風に揺れる音、暑さ、寒さを体験しているような気分になるのです。
教科書で見てきたような本物の名画を、生で観るというのは最高に贅沢な時間で、また必要な時間なのではと思う。この瞬間は、心がうーんと背伸びをして、いつもはできないようなストレッチできる。そしてその経験が、どんな職種でも、明日の自分の仕事に生かされるのでしょう。

奇跡のクラーク・コレクション展」~5月26日(日)
三菱一号館美術館

東京メトロ二重橋前」駅徒歩3分、「日比谷」駅徒歩4分など)

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