フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

『Rhythm』でコラム新シリーズ(イタリア料理話)連載中です/業種だけでなく「職種」の垣根ももはやない?

以前も書いた、30〜40代の健康的なライフスタイルを目指す大人のためのウェブマガジン『Rhythm(リズム)』さんで、新しいコラム連載がスタートしました。前回は「燻製専門店」ブームの話でしたが、今回はがらっと変えて、私の得意な「イタリア料理」についての話。

20年やってるといろんな人と知り合い、それなりに情報もたまる

Rhythm イタリア

今回の連載のタイトルは「バブル期の『イタ飯』ブームから30年。当時は子供だった日本の大人はいま、“本物のイタリア料理”を食べているか?」です!

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シリーズでいろんな人に同じテーマで取材して書くので、まず第1回目が公開ずみで、今後も取材アポが取れる限り続けて、深く掘り下げていきます。とりあえずもう4回目までは取材が完了していて、あとどれだけいろんな人に会えるか、調整しているところです。

内容は、ぜひ記事を読んでいただきたいのですが、もう自分がいままで、この業界で20年近くやってきたすべてのネットワーク、イタリアのいろんな食体験(イタリアへの出張や個人的な旅も含めて)、取材と執筆経験、撮影も全部入れて作った感じです。

食の世界はとめどなく深いし、フードライターの方も重鎮がいらっしゃるし、私なんかアラフォーでもこの業界ではヒヨっ子だと思うのですが、今回思ったのは、20年同じことを続けてるとそれなりに、いろんなことが蓄積されて仕事もやりやすくなるんだなと。

でもやっぱり好きじゃないと20年は続かないので、仕事は自分が一番好きなことを選ばないといけないなと。

業種・業界だけじゃなくて「職種」の境界もこれからなくなる?

[blogcard url="https://asanoyoko.com/works/web/column-on-rhythm"]

ところで前回の『Rhythm』での連載開始をこのブログで報告したとき、

しかしいま、オムロンさんのようなマスコミと関係ない一般企業がウェブマガジンを運営したり、ファッションブランドでも自前のウェブで、執筆者を立てて情報発信し始めているし、アパレルなのにカフェやコスメショップを展開したり…従来の「業種」ってなんなのだろう、

とつぶやき、発信する人=従来のマスコミという時代は終わりつつあるだけじゃなく、業界や業種の境界もなくなっているんじゃない?と書いたのですが、今回のRhythmのイタリア記事を書いてさらに思ったのは、業界だけじゃなく「職種」の境界も、もはやないのでは、ということ。

未来

どういうテーマで書くかという企画立案から取材アポ、記事の構成(取材した内容を整理してどの順番で書いて、写真を差し込むか)、撮影、取材先への校正確認という、従来の出版業界の分け方では編集者・ライター・カメラマン・校正者の4人のプロがやってきた全作業を、デジタルとネットの力で自分1人でできちゃっているわけです。

私だけじゃなく、『Rhythm』の連載執筆者はみんなこの作業をそれぞれ自分でやっているので、メディアについては全体の流れが「職種フリー」に変わりつつあると思いますが、メディア以外の業界も、その流れは起きているのかも?

*「すべて自分まかせ」はクリエイターの天国*

いまでも、ご要望をいただいたら「ライターだけ」の仕事は喜んでお受けします。ライターの鉄則は、できるだけ自分の主張は抑えて、クライアントのリクエスト通りに取材し、事実をわかりやすく過不足なく、指定された文字数内に書きつくすこと。

同じ内容を2000字で書けと言われたらやるし、逆に100字内に絶対おさめろと言われたら工夫するし、それはそれですごく楽しいのですが、今回の『Rhythm』のように「全部一人で1からやってね、でも自由にお好きなように、ただ内容は面白いもので」というオーダーは、最高です!

Rhythm以外にもいくつか同じスタイルの連載があるので、起きている間はずーっとどれかのネタを考え続けていて、思いついたらすぐスマホEvernoteにメモします。このメモが、単語いくつかだけでも後から効くので、必ずつけています。

でもこういうこと全部、ネットと、撮影もデジタル一眼レフがあるからできていることで。また一方で、私が社会人1年目の頃はやっとi-modeが登場したくらいで、当時の出版業界はまだまだアナログで。紙上で地道に記事を作ったり、文字校正の方法も一からたたき込まれました。

でもデジタル化されたいまも、20代で色鉛筆を握りながらやった仕事(つらすぎて修行に近かった)は本当に役に立っていて。特に編集や執筆という仕事は、アナログとデジタル両方知っている強みも多く、生まれたのがあと10年早くても遅くても、いまのようにはできなかったので、いろいろな運命に感謝です。