フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴25年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話を紹介するブログ。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

【大阪万博2025】 「食にリサイクルなき未来はない」ーー北欧パビリオンで学んだ次世代への挑戦

食限定の取材歴25年、フードライターの浅野陽子です。

前回に続き、今月行ってきた大阪万博2025の話。

今日は北欧パビリオンでの取材レポートを紹介します。

※本記事はPRを含みます。

北欧パビリオンでの「食とリサイクルの未来」についての特別セミナー

食のリサイクル企業の先駆け、70年以上前にスウェーデンで創業したテトラパック社。

今回の大阪万博2025で、北欧パビリオンはデンマークフィンランドアイスランドノルウェースウェーデンが共同で出展。

「ノルディック・サークル」という5カ国で1つのパビリオンを出しています。予約不要で人気です。

北欧パビリオン「ノルディック・サークル」。予約不要で人気。

6月中旬、このパビリオン館内で日本テトラパック社主催特別イベントが行われ、取材してきました。

タイトルは「資源循環の未来・共創が生み出す新たな価値と可能性」。

北欧といえばおしゃれなデザインや家具、インテリアのイメージが強いでしょうか。

最近はミシュラン3つ星獲得のレストランが出現し、美食も話題。

ですが古くから(70年以上前)、エコやリサイクルに熱心な国々なのです。

日本でもジュースや豆乳などいろいろな食の包装パッケージに使われているテトラパック

使用後にパッケージを分別、細かくするとダンボールや別の包装用品にリサイクルできる。

70年以上、世界160カ国に向けて取り組んできたリサイクルの長い歴史

冒頭挨拶(日本テトラパック社社長)。

イベント会場には50人を超える記者や食とリサイクル業界の関係者が集まりました。

2050年には世界人口90億人!「食にリサイクルなき未来はない」、共創の時代へ

「資源循環の未来の形成 共創による新しい価値と機会」欧州製紙連合会ヨリ・リングマン氏による基調講演。

欧州からもテトラパック社副社長や、紙・パルプ業界団体の事務局長が来日。講演を行いました。

「共に進める循環型社会の実現」テトラパック社副社長キンガ・シェラゾン氏のプレゼンテーション。

日本でも最近、リサイクルは当たり前になってきていますよね。

牛乳パックや食品トレーをスーパーで資源回収し、ペットボトル・缶びんも分別して、回収に協力している人は多いのではないでしょうか。

今年2月「EU内で流通するすべての包装を2030年までに100%リサイクル可能にする」と規定(PPWR=Packaging and Packing Waste Regulation)。

ですが、ヨーロッパはさらに進んでいます。100社以上の企業や団体が協力し、紙資源のリサイクル率は現状83.2%。2030年には、90%まで上げることを目指しています(「4evergreen」公式サイト)。

2025年の2月にはEUの包装廃棄物の削減とリサイクルに関する法令「PPWR」という新しい規制も発効されました。

「紙全般、紙製容器包装の展望と高度リサイクルの重要性」(王子ホールディングス株式会社 リサイクル推進部長島谷啓二氏のプレゼンテーション)

どうしてリサイクルがそれほど重要なのか?

紙は森の木から作ります。不要な紙や包装パッケージをただの「ごみ」として出すと、森から作った地球の資源は一回限りしか使わないことになり、ごみを燃やす際のCO2も都度発生します。

ですが、リサイクルすれば同じ資源を2度3度使い、燃やす回数を減らしてCO2も削減できるのです。

北欧パビリオンで公式配布されている水の容器(テトラパック社製)。

テトラパック社は、日本ではティッシュの「ネピア」で有名な「王子グループ」とパートナーシップを組んでいます。

王子グループも脱プラ・紙化でリサイクルに取り組む製紙企業です。

使用済み紙コップがティッシュや紙ナプキン、ペーパータオルに!

王子グループプレゼンテーションでの「紙はリサイクルの優等生、しかし『回収なしにはリサイクルは実現できない』」という言葉が心に残りました。

また、食べ残しや飲み残しの汚れが残っている紙製品はリサイクルが難しく、捨てるしかないとのこと。

少しずつ進んでいるものの、洗浄などよりスムーズにリサイクルするためのの技術革新が次の課題だそうです。

休憩時間に出たシナモンロール。紙ナプキンもリサイクルしたものです。

クロージングの挨拶をする日本テトラパックの大森悠子氏。

最後に北欧パビリオンを見学

北欧パビリオンを最後に見学。

最後に北欧パビリオンを一般来場者と一緒に見学。

真っ白なスライドに、美しい北欧のごく普通の風景が映し出される演出。最後はオーロラ。

パビリオン内には北欧のごく普通の暮らしが見られる演出が。最後にオーロラが天井に映し出されました。

わたしは子どもの頃、北欧の児童文学が大好きで。小学生のとき夢中で読んだ、リングレーンの「やかまし村の子どもたち」や「長くつ下のピッピ」が思い出されましたね。

なつかしい。どちらもシリーズで何回読んだか……文章で身を立てる原点になった本です。

派手さはないですが、すてきなパビリオンでした。

 

5時間に及ぶボリュームたっぷりの内容で、とても勉強になりました。

フードライターとして華やかな料理の盛り付けや味、シェフのスゴい調理技術だけでなく、こうした食まわりの大切な情報も知って、広めていかなければいけない。

今回も万博の「いのち」というテーマにもつながりますしね!

それでは、今日も最高においしい1日を!

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