食の取材歴20年 フードライター浅野陽子の東京美食手帖

フードライター、食限定の取材歴20年。フードサステナブルが得意。執筆実績『dancyu』『おとなの週末』『日経MJ』『AERA』『NIKKEI STYLE』『TimeOutTOKYO』/書籍『おいしい無印良品』/TV出演『バイキング』『TVチャンピオン』ほか/東京都出身、青山学院大学国際政治経済学部卒、ダイヤモンド社グループ正社員を経て独立。ご連絡は asano.yoko[あっと]icloud.comへ

【日本橋】美食と伝統芸能デビューを同時に体験!「水戯庵(すいぎあん)」のプレミアム空間

能楽公演中の舞台の様子

(c)asanoyoko.com

こんにちは、食限定の取材歴20年、フードライター浅野陽子です。

日本人として、ぜひ日本の伝統芸能の舞台を見てみたい!

でも初心者には難しそう?しかも1公演3〜4時間という長丁場が不安、という大人は多いのではないでしょうか?(恥ずかしながらまさに私です)

 

そんな大人の夢を叶えてくれるレストランが日本橋にあるのをご存じでしょうか?

店内に能楽の舞台がある「水戯庵(すいぎあん)」です。

 

今回初めて訪問!

日本料理とお酒を楽しみながら贅沢に「ちょこっと伝統芸能体験」もできる、プレミアムな空間でした。

能舞台と茶室を備えたレストラン&バー「水戯庵」

水戯庵の入り口の画像

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水戯庵は東京メトロ三越前』駅ほぼ直結、コレド室町1・2の横の「福徳の森」の地下にあります。

能楽の舞台が描かれたアートが壁にかかっている画像

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能楽の舞台が描かれたアートが壁にかかっている画像

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地下に降り、お店の入口を入ると能舞台が描かれた額が並んでいます。

その廊下を通り抜けると……

能楽の舞台を正面から撮影した様子

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妖艶に輝く、美しい能舞台が出現!

(しかも舞台の奥のに描かれた「松」は実は国宝級の作品だそう)

能舞台のあるレストランの店内の様子

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すごいのは、この本物の舞台が客席とこんなに近いのです。

水戯庵の店内の客席の様子

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テーブル席のほか、こんなラグジュアリーなソファ席もあります。

水戯庵の店内にあるバーカウンターの画像

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舞台の横にはホテルのバーようなカウンターや、

水戯庵の奥にある茶室の画像

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茶室まで完備。

とにかく贅沢な空間でした。

オーナーはアートアクアリウムアーチストでもある木村英智(ひでとも)さん。

「日本の伝統文化を、季節の移ろいとともに楽しめるレストラン」がコンセプトだそう。

プログラムとメニュー、乾杯のスパークリングワインが置かれた様子

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最初にウェルカムドリンクをいただきます。

スパークリングワインとグラスとボトルの画像

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私が訪問した日は、山形県の銘酒・出羽桜と秋の料理を楽しむ「出羽桜ウィーク」開催期間中でした。

能の舞台鑑賞後、料理と一緒に出羽桜の日本酒ペアリングが出てくるのですが、1杯目は同じ山形県にある高畑ワイナリーのスパークリングをいただきました。

高畠ワイナリー ”嘉スパークリング” シャルドネ

スパークリングワインを楽しみながらプチ能楽鑑賞

能楽師の舞台の様子

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店内が暗転し、いよいよ舞台がスタート!

「出羽桜ウィーク」ではオリジナルの“短縮版の能”が楽しめるのが目玉。

この日の演目は能シテ方五流の一つ、観世(かんぜ)流の能楽師が演じる「敦盛(平敦盛が登場する平家物語の名場面を描いた演目)」です。

そして本当にたまたまなのですが、観世流の武田友志さん、私の高校の同級生なのですよね……(驚かせようと思ってこの日、本人には内緒で訪問しました)。

能楽師が演じているところ

※撮影OKの時間中に撮ったものです (c)asanoyoko.com

壁際に座る能楽師二人(地謡/じうたい)の歌唱に合わせて、能面と装束を着けている敦盛(あつもり)が舞い、歌います。

本来の能は地謡に、さらに楽器演奏(囃子/はやし)が付きますが、今回はその三方のみが演じる短縮バージョン。

でもすごい迫力でした!

本当に「目の前で、その瞬間だけしか見られない芸術」という感じ。

素晴らしかったです。

そしてこの舞台を、スパークリングワインを飲みながら見られるという贅沢さ……!

秋の味覚を出羽桜の銘酒ペアリングで

能の演目は30分ほどで終了。

その余韻に浸っているうちに、料理のコースが始まりました。

先付:吹き寄せ盛り (帆立 白桃 蛇腹胡瓜 長芋 スナップえんどう パルメザンチーズ)

先付の皿の画像

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むちっとしたほたてに桃の甘み、シャキシャキの野菜、アンチョビソースとパルメザンチーズがたっぷりかかってとても複雑な味わい。好きな味でした。

出羽桜のスパークリング日本酒

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出羽桜のペアリングは全5種。まずは日本酒スパークリングです。

テイスティングコメント付きです。

出羽桜(でわざくら) AWA SAKE (アワサケ)

先御膳 

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贅沢な前菜の盛り合わせでした。

それぞれ解説します。

前菜(写真左から金華鯖寿司、菊花琥珀寄せ、山形だし水雲、だだ茶豆松笠揚げ、新銀杏、柿源平博多)

水戯庵の前菜盛り合わせの画像

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前菜 水戯庵豆腐 いくら 芽ねぎ(だしと牛乳をゼラチンで固めたもの)

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前菜に添えたしつらいの画像

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そしてこの手前の筒に入ったお花。

これは食べ物ではないですが、今回の舞台の「敦盛」をイメージしたしつらいだそうで(笛の名手だったという敦盛の『笛』を表現)。

前菜に添えられた秋の紅葉の画像

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紅葉した紅葉の葉も添えられて。

さりげない秋らしさの演出にとても感動。

前菜 お椀 清汁仕立て(蟹真丈、源助大根、舞茸、生海苔、朧昆布、酢橘

水戯庵のお椀料理の画像

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日本酒「出羽桜」のボトルとグラスに注がれた酒の写真

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前菜に合わせた出羽桜2杯目は純米酒です。

インターナショナル・ワイン・チャレンジ(SAKE部門)で「チャンピオン・サケ」受賞。大吟醸クラスの出品が多い中、純米酒の受賞は快挙だそう。

出羽桜 純米酒 出羽の里

後御前 :季節の御造り三種(左) 焚き合わせ「山形芋煮水戯庵仕立て」(右)

御造り三種の画像

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お造りは(手前から時計回りに)ハタ、ホッケ、ノドグロ

炊き合わせ(煮物)の画像

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炊き合わせは海老芋、牛肉、赤蒟蒻、大黒占地。黄ニラのおひたしを上に。
上品で強い料理ではないのに、とても印象に残るひと皿でした。

出羽桜の酒のボトルと酒を注いだグラスの画像

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次は純米大吟醸「一路」(無濾過生原酒)。

非売品の希少な原酒をいただきました。

焼物:米沢牛らんぼそ炭火焼き カマスの柚香焼 紅白鬼卸し

焼き物(肉と魚料理)の画像

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肉と魚のメインです。

写真だといまひとつわかりづらいですが、提供時にふわーっと湯気が出る演出が見応えありました。

「らんぼそ」とは「ランプのいい部位」の意味だそうで、やわらかかったです。

塩ポン酢とヒマラヤの藻塩で。

出羽桜の大吟醸のボトルと酒が注がれたグラスの画像

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焼き物とのペアリングした4杯目は大吟醸

「雪漫々(まんまん)」という情景が浮かぶ商品名がぴったりの、透き通るようなのにふくよかな味でした。

出羽桜 雪漫々

御膳:秋鮭と栗のご飯 赤出汁

水戯庵のコースの最後のご飯の画像

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ご飯はつや姫

栗ご飯に焼き鮭がのった贅沢なご飯。

出羽桜の希少銘柄の酒のボトルの画像

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最後のペアリングは超限定品。

こちらも非売品で、出羽桜最高の大吟醸を氷点下(マイナス5度)で5年間熟成させたものだそう。

まろやかで素晴らしかった。

甘味:白桃のババロア 山形県産の洋梨とぶどう

水戯庵のデザートのババロアの画像

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抹茶カクテルと干菓子の画像

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最後は甘味のババロア、そして抹茶のオリジナルカクテルと金魚型の干菓子。

料理は、しつらいも美しかったですが、量や塩気を抑えた優しい味がトータルでバランスがよかったです。

私は懐石のコースだといつもお腹が苦しくなりがちですが、今日はするっと全部食べてしまいました(5種のペアリング込みで16,500円)。

コース途中から能楽師と歓談タイムも

客席に降りた能楽師と客が会話する様子

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ちなみにコース途中から、先ほどの能楽師3人の方々が登場。

こうして客席を回り、お酒を飲んで食べる間にいろいろお話をしてくださる「歓談タイム」もありました。

これはファンにはたまらず、また初心者もすごく親近感が持てます。

本当にいろいろ、伝統芸能がトータルで楽しめる場所だなと思いました。

 

出羽桜と山形県にゆかりのある食材を楽しむ「出羽桜ウィーク」はもう終了してしまいましたが、今後は兵庫県の「櫻正宗ウィーク」(2022年10月25日〜29日、昼・夜営業)ほか、他県の銘酒と能の回、また日本舞踊やお箏(こと)と尺八の回などもあります(スケジュールはこちら)。

 

コンサートやミュージカルは通常、飲んだり食べたりするのは厳禁です。

こうしたライブ、しかも日本の伝統芸能を鑑賞しながら飲み食いができる、ということは本当に貴重なだと思いました。

伝統芸能と美食の世界、まずは体験してみては?(バーのみの利用もOK)

「水戯庵(すいぎあん)」

それでは、今日も最高においしい1日を!

 

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