丸の内フレンチ×五島産美食の期間限定コースを堪能
こんにちは、フードライターの浅野陽子です。
東京にいながら極上の地方グルメを楽しみたい!
先週、そんな贅沢な夢を叶えてしまいました。
丸の内のフレンチ「Sens & Savers(サンス・エ・サヴール)」で、期間限定の「五島フェア」を堪能してきました。
「サンス・エ・サヴール」とはフランス語で「五感の追求」の意味。
1988年にミシュラン三つ星を最年少(当時)で取得した双子のフランス人シェフ、プルセル兄弟のモダン・キュイジーヌが東京で味わえる店です(丸ビルの35階)。
シェフは鴨田猛(かもだ・たけし)さん。
「長崎県五島市の自然保護と美食探求」をテーマにした、9月末までの期間限定特別コースをいただいてきました。
鴨田シェフが現地に足を運び、生産者や食材から受けたインスピレーションを各料理に入れ込んだとのこと。
ちなみに、五島市はこんなところです(長崎県観光連盟公式チャンネルより)。素朴な大自然が美しい…… (行きたい涙)
ハガツオ、地鶏、椿かぼちゃ、美豚……五島産美食をコースで食べ尽くす
では、食べたものを順番に。
五島の味覚と晩夏食材のマリアージュ
最初のアミューズは3種類。
右手前の黒い皿から時計回りに、
・低温調理した水だこ(スプーンに入ったもの、上の赤いものはビーツのピクルス)
・あゆのリエット(1個にあゆ1尾を丸ごと使ったもの)
・アンチョビと酒かすのサブレ
・豚足とフォアグラのコロッケ(南仏にあるプルセル兄弟の店でも出されているスペシャリテ)
前菜から美しく、いろいろ楽しい仕かけにワクワクします。
一番好きだったのはこの「あゆのリエット」。
まろやかで最後にちょっと苦くて、本当にあゆ一尾を食べている感覚でした。
最初のワインはシャンパーニュ(ひらまつオリジナル)。
CHAMPAGNE DELAMOTTE (selectionel pour Hiramatsu)BRUT
五島産ハガツオと五島の醤のタルトレット スイカと赤しそのガスパチョ ゼラニウムのエキュム
左がガスパチョ、右がタルトレット。
タルトはカツオ(五島産の歯鰹)に現地の漁業者が特別な下処理をされ(詳細はこちら)、それをレモンクリームとしその花と合わせてタルト仕立てにしたもの。
「五島産の醤(ひしお)」という、未利用魚(みりようぎょ)で作った魚醤も使われ、独特のコクやくせが香ばしいタルトにまた合っていて。
※未利用魚…漁の際、規格外や市場に出回らない魚種で網にかかってしまう魚のこと
岩ガキのヴァプール 五島産パプリカとマンゴーのルガイユ 黒酢とバニュルスワインのヴィネグレット
これは見た目から想像できる味に近いです。
さっと火を通したぷりぷりのかきに、パプリカやマンゴーを散らした甘くてやや酸っぱくて辛いソースがかかっています。美味!
2杯目のワインは、
Gerard Bertrand Reserve Speciale Vionier 2019
南仏地方のヴィオニエです。
五島産地鶏「しまさざなみ」のコンポジション 万願寺唐辛子のピペラード スモモとレバーペースト
五島産の地鶏「しまさざなみ」をいろいろなスタイルで調理した肉料理。
皿の右(3時の位置)から時計まわりに
・もも肉の炭火焼き ゆずこしょう添え
・レバームース
・万願寺唐辛子のピペラード
・むね肉をきくらげなどのムースと合わせたもの(鶏ハムのような食感)
・すもも
・(中央はパクチーのオイル)
しまさざなみは絶滅寸前の希少品種だそう。
脂肪が少なく、名古屋コーチンのようなうま味と歯ごたえを感じました。
濃厚なレバームースもとても印象的で。
この味、きちんと守って未来につないでいかないと、と食べながら思いました。
五島産椿かぼちゃのクレーム トリュフとポルチーニのアイスクリーム フルムダンヴェールのクロックムッシュー
五島産の甘い「椿かぼちゃ」をなめらかな温かいクリームにして、真ん中にトリュフとポルチーニのアイスを浮かべたもの。
香りと食感、そして「温・冷」を同時に楽しむ、贅沢な料理です。
横に添えられたスティックは、フルム・ダンベール(フランスの青かびチーズ)とポルチーニをはさんだクロックムッシューなんです。
これがアクセントにぴったりで。
「椿かぼちゃ」は、椿油(五島の名産品)の搾りかすと、海水を混ぜた天然肥料で育てたのでこう命名されています(詳細はこちら)。
合わせたのは3つ目のワイン。
Domaine FAIVELEY Gevrey-Chambertin Vieilles Vignes 2015
ブルゴーニュの王道、ジュブレ・シャンベルタン。
五島美豚(びとん)フィレ肉の炭火焼き 実山椒のコンディメント レモングラスの香る発酵いくりのキャラメルエピス 長崎こがねとモンヴィーゾのクレーム
五島の健康なブランド豚「美豚(びとん)」をラードで巻き、炭火で低温グリルしたメイン。
豚肉の上にかかっているのは、ほんのり辛いコンディメント(ソース)。
豚肉の下に敷いてあるのはモンヴィーゾ(チーズ)と長崎こがね(じゃがいも)を合わせたクリーム。
それぞれ複雑で。
ひと口ごとに食感と味が変化して……「食べる絵画」って感じでしたね。
五島産安納芋のロワイヤル カフェのムースと葡萄 焼き芋のアイスクリーム かんころ餅へのオマージュ
カリカリのチュイル、アイスクリーム、コーヒーのムース、ぶどうのコンポートなどいろいろ重ねたデザートです。
一番下の白い層が「かんころ餅(さつまいもを練り込んだ郷土菓子)」のオマージュだそうです。
ナイフを入れるとマシュマロのような弾力があって、これも印象的でした。
食後のやすらぎ〜サンス・エ・サヴール〜特選コーヒー&紅茶15種より
最後のお茶です。
クラシックなサモワール(給茶器)が登場し迫力満点!
選べるのは、紅茶3種か、
ネスプレッソ(サンス・エ・サヴール特別ブレンド)か、
ハーブティー6種。
あわせて全15種類。
迷いましたが……
前列左、五島産のレモングラスをお願いしました。
そしてこれが大正解!
レモングラスで感じる「尖り感」が全くなく、味も香りも優しくて……
最後の小菓子はほおずきのグミ、焼きたてマドレーヌ、クッキー。
これは食べきれず、持ち帰らせていただきました。
ということで長崎・五島の美味を東京の丸の内で堪能させていただきました。
長崎県五島市は豊かな食材の宝庫で、土地全体で海洋保全やSDGs(エスディージーズ)への取り組みをされているそう。
それに共感した鴨田シェフが考案された今回のメニュー。
特に絶滅寸前の地鶏「しまさざなみ」を守りたい、という思いが強く込められているとのことです。
9月30日までの期間限定コース、ご興味があればぜひ味わってみてください。
(「五島フェア」は2022年9月1日〜30日の期間限定、ランチコース6,655円税サ込)
「Sens & Saveurs (サンス・エ・サヴール)」
- 東京都千代田区丸の内2-4-1 丸の内ビルディング 35FACEBOOK
- JR、東京メトロ『東京』駅 直結
- 03-5220-2701
- 平日 11:00~15:30(L.O.13:30)、18:00~22:30(L.O.20:00)/土日祝 11:00~16:00(L.O.14:00)、17:30~22:30(L.O.20:00)
- 無休(丸ビル規定により)
<都内のフレンチをもっと知りたい!という方はこちらもどうぞ(過去記事)>