フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

[レストラン]長崎・五島市の美味をフレンチの期間限定コースで「サンス・エ・サヴール」(丸の内)

長崎県五島市の食材を生かしたフルコースの前菜3皿の写真

(c)asanoyoko.com

丸の内フレンチ×五島産美食の期間限定コースを堪能

白い大きな丸皿がテーブルに置かれ、レストランの店名が書いてあります

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こんにちは、フードライターの浅野陽子です。

東京にいながら極上の地方グルメを楽しみたい!

先週、そんな贅沢な夢を叶えてしまいました。

赤を主体にしたレストランの入り口の風景

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丸の内のフレンチ「Sens & Savers(サンス・エ・サヴール)」で、期間限定の「五島フェア」を堪能してきました。

「サンス・エ・サヴール」とはフランス語で「五感の追求」の意味。

1988年にミシュラン三つ星を最年少(当時)で取得した双子のフランス人シェフ、プルセル兄弟のモダン・キュイジーヌが東京で味わえる店です(丸ビルの35階)。

シェフは鴨田猛(かもだ・たけし)さん。

メニューリストを広げた写真です

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長崎県五島市の自然保護と美食探求」をテーマにした、9月末までの期間限定特別コースをいただいてきました。

鴨田シェフが現地に足を運び、生産者や食材から受けたインスピレーションを各料理に入れ込んだとのこと。

ちなみに、五島市はこんなところです(長崎県観光連盟公式チャンネルより)。素朴な大自然が美しい…… (行きたい涙)

 

ハガツオ、地鶏、椿かぼちゃ、美豚……五島産美食をコースで食べ尽くす

では、食べたものを順番に。

五島の味覚と晩夏食材のマリアージュ

フレンチの五島フェアの前菜3つの画像

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最初のアミューズは3種類。

右手前の黒い皿から時計回りに、
低温調理した水だこ(スプーンに入ったもの、上の赤いものはビーツのピクルス)
あゆのリエット(1個にあゆ1尾を丸ごと使ったもの)

木鉢に小石が詰められ、その中に前菜が入った皿

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アンチョビと酒かすのサブレ

ガラスの器に豆が詰められ、串に刺さった前菜が盛り付けられている

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豚足とフォアグラのコロッケ(南仏にあるプルセル兄弟の店でも出されているスペシャリテ

前菜の「あゆのリエット」を食べようと手でつまんでいます

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前菜から美しく、いろいろ楽しい仕かけにワクワクします。
一番好きだったのはこの「あゆのリエット」。

まろやかで最後にちょっと苦くて、本当にあゆ一尾を食べている感覚でした。

テーブルにフランスのシャンパーニュを注いだ細長いグラスとボトルを並べた写真

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最初のワインはシャンパーニュ(ひらまつオリジナル)。

CHAMPAGNE DELAMOTTE (selectionel pour Hiramatsu)BRUT

五島産ハガツオと五島の醤のタルトレット スイカと赤しそのガスパチョ ゼラニウムのエキュム

前菜2つ、左に飲むスープ、右はカツオを使ったタルト

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左がガスパチョ、右がタルトレット。

タルトはカツオ(五島産の歯鰹)に現地の漁業者が特別な下処理をされ(詳細はこちら)、それをレモンクリームとしその花と合わせてタルト仕立てにしたもの。

「五島産の醤(ひしお)」という、未利用魚(みりようぎょ)で作った魚醤も使われ、独特のコクやくせが香ばしいタルトにまた合っていて。

※未利用魚…漁の際、規格外や市場に出回らない魚種で網にかかってしまう魚のこと

岩ガキのヴァプール 五島産パプリカとマンゴーのルガイユ 黒酢とバニュルスワインのヴィネグレット

岩がきに野菜やマンゴーが散らしてある前菜の写真

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これは見た目から想像できる味に近いです。

さっと火を通したぷりぷりのかきに、パプリカやマンゴーを散らした甘くてやや酸っぱくて辛いソースがかかっています。美味!

フランス産白ワインのボトルと横にワインの入ったグラスの写真

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2杯目のワインは、

Gerard Bertrand Reserve Speciale Vionier 2019

南仏地方のヴィオニエです。

五島産地鶏「しまさざなみ」のコンポジション  万願寺唐辛子のピペラード スモモとレバーペースト

五島産の地鶏を様々な形で料理したものが丸い皿に少量ずつ乗っている写真

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五島産の地鶏「しまさざなみ」をいろいろなスタイルで調理した肉料理。

皿の右(3時の位置)から時計まわりに
・もも肉の炭火焼き ゆずこしょう添え
・レバームース
・万願寺唐辛子のピペラード
・むね肉をきくらげなどのムースと合わせたもの(鶏ハムのような食感)
・すもも
・(中央はパクチーのオイル)

しまさざなみは絶滅寸前の希少品種だそう。

脂肪が少なく、名古屋コーチンのようなうま味と歯ごたえを感じました。

濃厚なレバームースもとても印象的で。

この味、きちんと守って未来につないでいかないと、と食べながら思いました。

五島産椿かぼちゃのクレーム トリュフとポルチーニのアイスクリーム フルムダンヴェールのクロックムッシュ

かぼちゃのピューレや細長いパイ状のものが添えられた皿の写真

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五島産の甘い「椿かぼちゃ」をなめらかな温かいクリームにして、真ん中にトリュフとポルチーニのアイスを浮かべたもの。

香りと食感、そして「温・冷」を同時に楽しむ、贅沢な料理です。

横に添えられたスティックは、フルム・ダンベール(フランスの青かびチーズ)とポルチーニをはさんだクロックムッシューなんです。

これがアクセントにぴったりで。

「椿かぼちゃ」は、椿油(五島の名産品)の搾りかすと、海水を混ぜた天然肥料で育てたのでこう命名されています(詳細はこちら)。

フランス・ブルゴーニュ産赤ワインのボトルとワインの入ったグラスの写真

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合わせたのは3つ目のワイン。

Domaine FAIVELEY Gevrey-Chambertin Vieilles Vignes 2015

ブルゴーニュの王道、ジュブレ・シャンベルタン。

五島美豚(びとん)フィレ肉の炭火焼き 実山椒のコンディメント レモングラスの香る発酵いくりのキャラメルエピス 長崎こがねとモンヴィーゾのクレーム

カラフルなソースが何種類も皿に描かれ、中央に豚肉の炭火焼きが乗ったメイン料理の写真

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五島の健康なブランド豚「美豚(びとん)」をラードで巻き、炭火で低温グリルしたメイン。

豚肉の上にかかっているのは、ほんのり辛いコンディメント(ソース)。
豚肉の下に敷いてあるのはモンヴィーゾ(チーズ)と長崎こがね(じゃがいも)を合わせたクリーム。
それぞれ複雑で。

ひと口ごとに食感と味が変化して……「食べる絵画」って感じでしたね。

五島産安納芋のロワイヤル カフェのムースと葡萄 焼き芋のアイスクリーム かんころ餅へのオマージュ

チュイル、安納芋のムース、アイスクリームが複雑に重ねられたデザートの写真

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カリカリのチュイル、アイスクリーム、コーヒーのムース、ぶどうのコンポートなどいろいろ重ねたデザートです。

一番下の白い層が「かんころ餅(さつまいもを練り込んだ郷土菓子)」のオマージュだそうです。

ナイフを入れるとマシュマロのような弾力があって、これも印象的でした。

食後のやすらぎ〜サンス・エ・サヴール〜特選コーヒー&紅茶15種より

サモワール(給茶器)と紅茶の写真

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最後のお茶です。

クラシックなサモワール(給茶器)が登場し迫力満点!

紅茶の葉のサンプルが3種並べられた写真

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選べるのは、紅茶3種か、

コーヒーのサンプルが12種箱に入った写真

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ネスプレッソ(サンス・エ・サヴール特別ブレンド)か、

ハーブティー6種のサンプルが箱に入った写真

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ハーブティー6種。

あわせて全15種類。

迷いましたが……

前列左、五島産のレモングラスをお願いしました。

ハーブティーがカップに入った写真

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そしてこれが大正解!
レモングラスで感じる「尖り感」が全くなく、味も香りも優しくて……

箱に詰められた小菓子の画像

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最後の小菓子はほおずきのグミ、焼きたてマドレーヌ、クッキー。
これは食べきれず、持ち帰らせていただきました。

エプロンをかけたシェフがレストランの客席で笑顔で立っている様子

シェフの鴨田猛さん (c)asanoyoko.com

ということで長崎・五島の美味を東京の丸の内で堪能させていただきました。

長崎県五島市は豊かな食材の宝庫で、土地全体で海洋保全SDGsエスディージーズ)への取り組みをされているそう。

それに共感した鴨田シェフが考案された今回のメニュー。

特に絶滅寸前の地鶏「しまさざなみ」を守りたい、という思いが強く込められているとのことです。

9月30日までの期間限定コース、ご興味があればぜひ味わってみてください。

(「五島フェア」は2022年9月1日〜30日の期間限定、ランチコース6,655円税サ込)

 

「Sens & Saveurs (サンス・エ・サヴール)」

レストランの客席、丸テーブルと椅子があります

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<都内のフレンチをもっと知りたい!という方はこちらもどうぞ(過去記事)>

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