こんにちは、フードライターの浅野陽子です。
今日で東京オリンピックも開催11日目。
日本勢のメダルラッシュや試合結果の引きこもごも、選手村でのできごとなどオリンピック関連のいろいろなニュースが飛び交っていますが、今回はオリンピックで起きた、この食の問題について書きます。
4000食分の弁当廃棄に批判殺到
オリンピック関連の報道で、最近特にセンセーショナルだったのがこちらの「東京五輪組織委員会の弁当廃棄問題」。
7月23日の開会式で大会ボランティアに用意された弁当4000食分が消費期限前に廃棄されたほか、各会場で大量の食品ロスが生じているそうです。
これには、
- 単純にもったいない
- ボランティアの数が減るのを前提に調整できなかったのか
- オリンピック・パラリンピック大会中のミッションである「サステナブル(持続可能性)」と矛盾している
- 廃棄する前に困窮する家庭など、必要としている人たちに配れなかったのか
などたくさんの意見が出ています。
先日も書きましたが、私は2016年から今回のオリ・パラを通じて食のサステナブルが進むと信じ、取材活動を進めてきました。
サステナブルとは真逆のこのニュースを聞いて、「あーあ」とは思いました。
ただ「貴重な食べ物をムダにして、大会組織委員会、けしからん!」とは思えませんでした。
文句より現場を想像するとパニック
私はある1セッション分(バドミントンの下位試合)だけ、観戦チケットに当選していました。
チケットに当選したのが2019年の秋。
そしてチケットを持っていた観戦日は7月28日でしたが、「最終的に無観客が決定しました。楽しみにしていたと当選者の方はすみません、今後順次払い戻しします」という
「おわびメール」が来たのが7月10日。
2年越しでチケットを取ったのに、無観客(&払い戻し)の正式決定が開会式の2週間前。
運営側で、実際にオペレーションを行う現場の方々の混乱と数々の調整……普通にオリンピックを成功させるだけでも大変なのに、このゴタゴタ、一体どれほどの混乱が起きているのか、現場の大変さを想像すると、もうこちらまで心身ともにおかしくなりそうです。
「決めてくれるリーダー」不在が根本的な問題
今回の東京2020大会では、153の国と地域が参加しました。
仕事で参加者20〜30人規模のイベントをやるのでさえ半年がかりで準備し、いろいろ大変だしロスも出てしまうというのに、この国際的一大イベントで開催2週間前まで最終方針が決まっていない、ということが、どれほど現場に負担がかかったかというのか。
誰も経験したことがない、この未曾有の事態。
結論はわからないのだから、有観客でボランティアも多数稼働する前提で、とりあえず発注した結果、余って行き場がなくなってしまったのでしょう。
しかし、前出の開会式当日に出た4000食のロスは、単なる「廃棄」ではなく飼料とバイオガス化処理をして、二次利用したそうです。
これ以上の理想策を求める方は、ご自分が担当者だった場合、方針を確定してくれるリーダー不在の中、さらなる良策を実現できたのでしょうか。
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