フードライター浅野陽子の美食手帖

食の取材歴20年のフードライター(子育て中)がレシピ、レストラン、仕事話などを紹介するブログです。著書『フードライターになろう!』全国書店で発売中。

東京で体感した今回の地震

今回の地震に関して連日さまざまな情報が錯そうし、また目を覆いたくなるような、

悲惨な画像がエンドレスで流れています。


海外に住んでいる友人が何人かいるので、

私が東京でリアルに体感した様子を書こうと。


まず地震当日はさんざんテレビでもやっている通り、

東京でも結構な揺れを感じました。

晴れた気持ちのいい午後、私は自宅で普通に仕事をしていたのですが、

何かを取ろうと立った瞬間、ふわふわ・・・と軽い揺れが。


よくある小さい地震だろう、と最初甘く見ていたら

だんだん、グラッグラーッと大きくなり、全然やまない。

え、これ、絶対まずい!異常事態!とゾーッと寒気を感じ、ダイニングテーブルの下にもぐった。


この時点ではもうキッチンから物が落ちる音ががっしゃんがっしゃん響き、

私がいた部屋では重いデジタルテレビが大きく揺れ、本棚がずれ、テーブルの下で絶叫。

人生で経験した中で、一番大きく揺れ、恐怖を感じた地震でした。


しばらくしたら収まりましたが…家の中は、空き巣に荒らされたようにあらゆる部屋で物が飛び出ていました。

あと壁にかけてあった額縁が落ち、床が大きく欠けました。


この時点からテレビはCM無しの緊急特番に全局切り替わり、携帯も固定電話も一切通話不可。

唯一、若干タイムラグはあったものの通じたのがメール。

夫や両親、家族とは1時間後くらいにメールで無事が確認でき、ほっとひと安心するものの、

ダンナはいったいどうやって帰るんだろう・・・とまた不安に。

テレビでは一斉に電車、飛行機がストップしたことを報道し、

電車をあきらめてぞろぞろ歩いて帰る様子が映されていました。


結局ダンナは仕事先から、約2時間半徒歩で帰宅。革靴だったので、

足の裏にはソラマメ大の大きな水ぶくれを作りながら。


そしてこの日、我が家では地震直後からお湯が一切出なくなる。

(結局、ガスの自動停止作用が働いただけと後日わかったのですが)、

その日は原因がわからず、もしやこのまま断水になる可能性もあるのでは・・・と

バスタブに張ってあった、冷たーい残り湯に無理やり入り、その水で髪の毛も洗う。

しばらく経って携帯は一切つながらないものの、固定電話はわりと早い段階で使えるようになる。

都内の下町に住む義理の母は、マンション6階が我が家より大きく揺れ、

お皿もバリバリに割れ、仏壇もひっくり返ったと聞き驚く。

同じマンションの人は冷蔵庫が倒れた(!)とかで・・・。

復旧を手伝いに行こうとしたのだが、なんとか母一人でやれる、

余震も心配だし来ないでほしいと繰り返し言われ、断念。


実際、余震はずいぶんあった。

怖くて壁にかけてあった絵の額縁と、鏡、時計はこの日すべて外し、床に置いている。

戸棚なども、扉にガムテープを貼って落ちてこないようにふさいだ。


翌日、昨日は早朝からスーパーでとりあえずの食料だけ確保していこうと行ったら、

24時間営業の店が一時営業停止になっていた。

これ・・・ホントにまずいのでは、と危機を感じ、そのまま普段は行かないコンビニに行って

とりあえず卵、ソーセージ、缶詰、納豆などを買う。

この時点ですでに買いたかった牛乳は売り切れ。パンも売り切れ。


その後、スーパーは営業再開しましたが、いつもは全然感じない、買い物している人の緊迫感がすごい。

今買えるもの、とにかく今買っちゃっておこう、みたいな。


そして3日目の今日、テレビではNYの9.11が起きたときを思い出すような、全国の悲惨すぎる状況を

繰り返し流しています。

家やビルが猛烈な速さで押し流されてめちゃくちゃになっている状況、

朝、会社に行ったっきり自分以外の家族と連絡がついていなくて、こんな一瞬のことで

一人きりになるのなんて絶対嫌だ、ありえないと泣いている主婦の人。


胸が痛い。

私にできることは、いつもより節電に気を付けるくらい。そして結局、そういう映像を見て恐怖を感じたり、

もらい泣きしながらも、我が身、家族は一番いい状態にいられるようにと、

どうしても考え続けている自分がいます。


直接被災していない人が、被害者の映像を見続けるとPTSDになる可能性もあり、

自分としてできることをしたら、あとはいつもの生活をして健康を害するなど

被害拡大しないようにすることが一番いいとか(byツイッター)。


何より、少しでも余震が来ると、ピコーンピコーンとテレビでアラームが鳴るので生きた心地がしない。

テレビのキャスターの人たちは

「このすぐ後に、余震が来る可能性があります!落ち着いて行動してください!身の安全を確保してください!」と

言いながら、本人が全然落ち着いていないので、こちらまでテンパってきます。


なので少しテレビから離れて、必要な情報はネットとラジオで取り、

できるだけ普段の生活をしようと思っています。


とりあえず私が聞いた限りでは東京都内、近郊にいる人たちの意見をまとめると

ちょこっと家の何かが壊れたけど、人間は大丈夫、という人がほとんどです。