食限定の取材歴25年、フードライターの浅野陽子です。先月、京都にひとり旅してきたレポートを数回、シリーズで紹介します。
今回は「鍵善良房」で京都現地にしかない、くずきりを食べた話。
賞味期限30分とも言われる、できたてくずきり。どうしても食べたくて。ついに行けました!
鍵善良房(かぎぜんよしふさ)の名物くずきり
京都は街全体がわかりやすいです。祇園の八坂神社に向かうアーケード、あの有名な通り沿いに、鍵善良房の四条本店があります。
最古の記録は江戸時代、創業300年の京都の老舗中の老舗のお菓子屋さんです。
オンラインでここの和菓子は買えますが、できたてのくずきりは、京都に来てこの茶房でしか食べられない。
できたてを30分以内で急いで食べるのが最高、といくつかの記事や本で見て、「いつかどうしても行きたい!」と思っていて。ついに!
静かな和のしつらいが美しい
でも店内は予約不可。午前中は比較的入りやすい、と聞いて開店直後の朝10時に来店。もちろん朝食抜きです(どれだけ気合いが入っているのだ……笑)。
店内はわたしのほか、着物を着たシニアのご婦人たちが穏やかに歓談。人がいるものの、とーっても落ち着いて、昭和後期や平成の初めを思わせるような静かに美しい和のしつらい。お庭の風景も見えて。
「わたし京都にいるんだー」という空気感を全身で感じて、幸せに浸っていると……ついに!
ついに憧れのくずきり登場
また美しい、大きな器に入ってくずきりが登場。黒みつ・白みつどちらか選びます(わたしは黒)。このしつらい。もうすべてが美しい。
「みつの器と三段に重なっているので、開けて。おそばのようにみつをつけて食べてくださいね」と促され、ふたを開けると……透明で美しいきしめんのようなくずきりが。
教わった通り、少しずつたぐって、みつをつけていただきました。柔らかいのに噛むとコシがあって。つるつる。甘いけれど、飽きない。いつまでも食べていたくなる味。感激です。
これは和のスイーツが好きな人には、京都に来てぜひ食べてもらいたい味。賞味期限30分なのも納得。
感動しながら夢中で食べているとスマホに通知がありました。見たら甥っ子が第一志望の高校に合格という知らせ。「エーッ!」とまた感激。
甥っ子がこの一年、どれだけがんばっていたか聞いていたので、くずきりをはむはむしながら自然と涙がこぼれてきて。鍵善良房に来て嬉しいのか、甥っ子のことが嬉しいのか。なんだか嬉しすぎて最後はよくわからない(笑)、感激の訪問だったのでした。
また京都に来て、このくずきりは絶対食べたいです!
https://www.kagizen.co.jp/
それでは、今日も最高においしい1日を!
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